第6話 剥がれるメッキ
「うわぁ……」
「……もしかしてとは思ってはいましたが」
「どうしようかねぇ?」
三人は文字通り、落胆している。
「でも転生者の持っているスキルはレベルとは関係なく強力なものを使えますし……」
「そう思って、僕も確認してみたけど『特殊スキル:IT』だってさ。もう何のことだかわからないよ」
「聞いたことないねぇ。えーと、サワラくん? あなたは一体何が出来るの?」
先ほどとは打って変わって冷たい視線を俺に向け、
ナギサが聞いてくる。
「お、俺のスキルは対象者にコードを打ちこむことで強制的に命令を出来るモノなんだけど……」
さっきまでの『ヴァンシュタイン』のロールを忘れ、
俺は素のままで答えた。
ロールがなければ俺はただの陰キャだ。
ただでさえかわいい子と話すの緊張するのに、
こんな侮蔑の視線を向けられていたら
ファビョっても仕方がないだろう!?
「めちゃくちゃ強いじゃん!!」
リータが目に輝きを戻して言った。
それを受け、ナギサは腕を組んで俺に問う。
「じゃあ、攻撃するなって命令も出来るの??」
「多分それなら『Sleep関数』みたいなの使えば秒数まで指定して止めれると思う」
「最強じゃん!!」
リータはぴょんぴょん跳ねる。
「ふぅん。もしかしてだけどさ、それって私たちにも使えるの?」
厳しい目で俺を見るナギサ。
「少なくとも今の俺は出来ない。安心していい」
「じゃあ誰になら出来るのさ」
「それは……」
わからないとは言えない。
それを言ったらポンコツだとバレる。
その様子を見て、たわわは言った。
「……言えないんですか? ……二人とも悪いですけど、この人を入れるのはやめましょう。怪しいです」
そう言って、たわわは踵を返した。
「まぁ、待って。少なくとも転生者であるのは間違いないんだからさぁ。サワラくんには引き続きお願いしようよ。……ただ、私たちは手を出さないけどね??」
そう言ってニヤリと笑うナギサ。
「えぇ。でも、それでもし死んだりしたら??」
「それは私たちの責任じゃないでしょう。最初から私たちは言ってたもの。それについてくるって言ったのはこの人でしょう? 自信があるんだよ。きっとね?」
そう言って、まるでごみを見るかのような視線で
ナギサは俺をみた。
これは、本当は気づいている。
俺が本当は何もできないということに。
「そうと決まったら急ぎましょう。時間の無駄ですから。ほら、先頭を行ってください。危ないので私たちは貴方に近づきません」
たわわがそう言って手で行き先を示す。
リータは何も言わない。
俺は、ダイン鍾乳洞とやらの
主の元へと進むことになった。
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