第5話 ステータスジュエル



 どうやらこのダンジョンは

 そもそも難易度が高くないようだ。


 だがそれでも、三人の強さは圧倒的といえる。


 まず、たわわがみんなに何かをかける。

 おそらくバフ魔法って奴だろう。

 ナギサのスピードがえぐいことになっている。

 

 そのえぐいスピードで

 ナギサはオークの様な敵に接近。


 まるで木の枝のように振り下ろす、

 無骨な大剣を紙一重でよけ腕を切り飛ばし、

 そのまま回転するようにして脚も切る。


 そして次のオークへといった具合だ。


 リータはその倒れて動けないオークへと

 大きな火球を放って処理をする。


 『フレアアロー』という名前の魔法のようだが、

 アローの面影はない。大砲級である。

 メラミくらいの強さだろうか。


 正直、この戦いを見てワクワクをしているが、

 同様以上にびくびくしている。


 だって、この強さのパーティーで、

 誰かに任せたいレベルの敵を俺一人だよ!?

 正直このオーク一体でも、俺は死ぬと思うよ!?


 だが、それを言うわけにもいかず、

 一行はどんどん奥へと進んでいく。


 願わくば、誰かが大けがをして、

 一度引き返すのが一番良いのだが……。



 そんなことはあるはずなかった。



「この階段を下りた先が主のいる間だねぇ」

「今回はヴァンさまがいるから安心だ!」

「じゃあ、パーティ申請送るのでご許可をおねがいします」


 最後にたわわがそう言って、

 手袋越しに自分の左手の甲を触る。


 すると、俺のものと同じようなウィンドウが出てくる。

 内容は見えないようだが。


「それ、君達にも!? 君達も転生者なのかい?」


 僕の質問にはリータが答えた。


「ヴァンさま何言ってるの? ステータスジュエルはみんな持ってるじゃん!」

「いやはや、すまない。実はこの世界に来て話したのはまだ君達だけでね。僕の左手を見て転生者と言っていたから僕たちにしかないものかと思ったのだよ」

「転生者様ってわかるのは宝石が虹色だからです。私たちは……ほら。普通のステータスジュエルですから」


 そういってたわわは手袋を外す。

 そこには青い宝石が埋め込まれていた。


 なるほど。普通は青なのか。


「では、ヴァンシュタイン様。申請のご許可を」


 たわわがそう言った時、

 どこかから『ピコン』と音が鳴った気がした。

 宝石が点滅している。


 ウィンドウを開いてみると、

 メイン画面とは別に右上に小さなサブウィンドウが出ていた。

 『申請が一件届いています』と書いてある

 そのウィンドウを開き俺は『許可』を選んだ。


 するとメインウィンドウの隣に

 サブモニターのように三人の簡易情報が出てくる。


 名前と職業などが記載されている。

 これは実にやばい。


 名前:たわわ 職業:司祭プリーステス

 名前:リータ 職業:黒魔術師マジシャン

 名前:ナギサ 職業:さむらい



 そして栄えある俺の項目はこちら。



 名前:サワラ カグシ 職業:無職



 やばいやばいやばいやばい。



「サワラ……カグシ?」

「無職……」

「ってことはレベルは10もない??」


 それぞれが目を合わせて呟く。




 オワタ……。

 ボーナスタイムは終了のようです。







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