第94話 魔法の本質
「魔法の本質を理解している」
師匠のその言葉に俺たちは
「「「えぇ~~~!!!」」」
当然驚いた。ずっと無理無理って言っていたの実はできてましただったんだよ?驚くなっていう方が無理だ。
「どういうこと?」
「どういうこともなにも、魔法の本質を理解しているような魔法だったの」
いやいやいやいや、理解してないけど?!何なら未だに何かわかってないんですけど!
「でも、普通の魔法はそんなことないんだよね?」
「そうね、今日まで見てきたけれど、そう感じられたのは今回が初めてよ」
意味が分からない。そしてなぜ師匠はそこまで冷静なんだ……?とりあえず、このままでは埒が明かないので、後日再び試すことになった。
翌日、威力を抑えて試したところ
「うん、同じだね」
わけがわからない。まじでなんなの、魔法の本質って。
「とにかく、使えてはいるんだから頑張って理解しなさい」
んな無茶苦茶な。俺はため息をついて考える。新古魔法と普段の魔法の違いとは、なんだろうか。それぞれの特徴を思い出していくか。
まずは新古魔法。同時に1つしか扱えず、魔法陣を展開し、それにマナを込めて、魔法を構築する。この際、込めるマナの量によって威力は異なり、構築に必要な時間も長くなっていく。
また、どんな魔法を使うか、というのは魔法陣によって決定している。最初はイメージが大切だと思っていたけれど、実は魔法陣さえわかればいいらしい。というか、どっちでもできる。イメ0時で魔法を構築するか、魔法陣で魔法を構築するか、の違いだ。
そして、普段の魔法。これは同時に複数個扱うことができる。これは、個人の力量の差なので、それさえあれば千でも万でも同時に扱えるだろう。イメージを主軸としており、どこにどんなものを作り出すかということが想像できれば、魔法を扱える。マナは、イメージを具現化させるのに使う、といった感じだ。……一応、ルリアーナにも聞いてみるか。
「ルリアーナ、魔法を使うときってどうやってる?」
「ん~基本的にどんなkん時にしたいかを想像してるかなぁ。例えば、治癒魔法だったら怪我をしていない状態を想像するし、強化魔法は身体の筋肉を強くする、って感じかな」
……結構適当なのな。まあ、細かい原理を知らなくても魔法は使える、ということだな。
さて次は違いを整理していこうか。まず最初に、魔法陣の有無。これは一番の違いといえるだろう。何なら、それが一番怪しいんじゃないかと思っている。
次に、イメージの有無。新古魔法のメリットであり、デメリットでもある魔法陣によって魔法が決まるという点。イメージしなくても魔法を行使できるのは強いが、逆にそれに通ずる魔方陣を知らなければ使えない。まぁ、イメージがしっかりとできれは使えるんだけど。他には、同時展開数か。新古魔法は制御が厳しいから両手で必要なだけだから、その内できそうだけど……いや、無理だな。暴走しそうで怖い。
「とまあ、そんな感じでまとめてみたんだけど、どう思う?」
俺は休憩時間にみんなのことを集め、俺の考えを話してみた。
「結局、魔法陣が原因なの?」
「……そんな気がするだけ。確定でそうっていうわけじゃない」
「でも、あなたの言う通りなら、魔法陣を普段の魔法に加えると、新古魔法にならない?」
「そうなんだよねえ」
師匠の言う通りだ。本来、魔法陣は古代魔法のもの。それを普段の魔法に合わせたらそれはただの新古魔法だ。新古魔法とは別の、魔法陣を用いた魔法のビジョンを俺は描けない。
「ルリアーナはさ、その魔法の本質を理解した時、何か変化があった?」
ルリアーナは一足先に魔法の本質をつかんでいた。
だから彼女からなにかしらヒントが得られるのではと思ったのだ。
「ん~、なんか変わったよ。でも、感覚だから分かんない」
それだけ?思ったよりも分からなかった。
「アンナも同じ感じ?」
「そうね。大分はルリアーナと同じかな。ただ、少し思ったのは、魔法の本質っていうのは概念的なものであって別に理解するものではないと思うの。なんなく、見える世界が変わった気もするし」
なるなど、最初からアンナに聞けばよかった。とにかく、わかったことといえば、理解するものではないというのと、見える世界が変わったということくいか。……結局、あんまり分からなかったな。休憩時間が終了し、俺は再び一人になった。今師匠は、ルリテーナとアンナに教えているっぽい。
俺も早くあっちにいかないとな……と思いながら考える。
キーとなるのは新古魔法……いや古代魔法と現代の魔法の差、しかも魔法陣の話ではない……古代魔法を使う時にしていて現代の魔法でしていないこと、詠唱……はしていないから違う。アンナは見える世界が変わったと言っていた。
……そうか!俺は気が付いたことを踏まえ、魔法を構築する。
「師匠、見てみてよ!」
俺は師匠にそう呼びかけ、魔法を放つ。俺が放った魔法は、何の変哲もないただの炎の玉。ただ、師匠には、これがただの火の玉ではないことに気が付くはずだ。
「合格よ」
こうして、俺は魔法の本質を理解することができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます