第42話 休息
「わかったよ、どうやったら供給が止まるか」
ロボットが出てきてる穴は十六個。それに合わせて、天井に付いているシャンデリアは十六個ある。うちひとつずつ失われている。
俺は風の刃を創り、シャンデリアと天井の設置部分を狙い放った。放たれた風の刃はきれいにシャンデリアと天井を切り離し、シャンデリアは地面に落ちて粉々になる。それと同時に、ロボットが供給されている穴のひとつが音を立てて閉じた。
「簡単な話だよ。シャンデリアとロボットの供給口はつながっている。つまり、全部落とせば」
「供給が止まるってことだね!」
なぜ最初に落ちた時は気が付かなかったのか。それはアンナが攻撃を受けた時だったからだ。あの時、アンナはビームを剣で弾き、その結果天井からシャンデリアが落ちてきた。あの時は、アンナの援護をしてたし、気が付かなかったのも仕方がないだろう。
俺は天井からぶら下がっているシャンデリアを次々と魔法で地面に落としていった。シャンデリアが落ちるたびに、ロボットの供給口が閉じていく。そして、最後の供給口が閉じたとき、ロボットの数が増えることは無くなった。
「あとは今いる奴をすべて倒せばいいってことね」
アンナはそう言って再び剣を構える。
「ラストスパート、頑張ろう!」
その言葉と共に各々が獲物をもって攻撃を再開する。そこからの戦いは一方的なものとなった。供給が止まったロボット達の数はみるみる減っていき、部屋の傍らに奴らの残骸が積みあがるばかりだった。
「はぁぁぁぁ!」
アンナが最後の一体の眼を貫いたとき、俺たちの戦いは終わりを告げた。
実に長い戦いだった。俺は、一息つくためその場に座り込みマジックバックから飲み物とサンドイッチを取り出した。
「そんなにくつろいでていいの?」
「多分大丈夫だよ。ここの製作者的には」
遺跡から転移する魔法陣と言い、最初の壁に記された文字と言い、シャンデリアと
「だから、ここはしばらく安全なはずだよ」
俺がそう言い終わると、部屋の奥にあった扉がゴゴゴッという音を立てゆっくりと開いた。
クリアっていう捉え方で間違ってなさそうだな。
「二人もいったん休もう。私はもう疲れたよ」
俺は二人にサンドイッチと飲み物を渡した。
軽く食事をとった後、俺たちは寝ることにした。一応念のために一人見張りとして起きておき、残り2人が寝るといった形をとった。
じゃんけんの結果、最初はアンナが見張りとなり、俺とルリアーナが寝ることになった。
「えへへ。カルラと一緒に寝るのはあたしなんだよ~!」
「……むぅ」
ルリアーナに自慢されてアンナが膨れている。可愛い。
「盛り上がってるとこ悪いんだけどさ、一人用の寝袋しか持ってきてないよ」
「え?」
先ほどの態度とは一変、俺と一緒に寝られないとわかったルリアーナは悲しそうにしていた。アンナも悲しそうな顔をしていた。あれ、そんなに俺と寝たかったの?今度は複数人で寝られる寝袋を買ってこようかな。……想像しただけで寝にくそう。
そんなことはあったが一人ひとつの寝袋で睡眠をとった。
――――――――――――――――――
「ん、んーっ」
「起きた?」
目が覚めると、アンナは座って剣の手入れをしていた。
「何時間ぐらい寝てた?」
「大体五時間ぐらいかな。それより、もう起きていいの?」
「結構体力は回復したよ。見張り、交代するよ」
確か次の見張り役は俺だったはずだ。
「それじゃあ、言葉に甘えて寝させてもらうわ」
磨いていた刀身を鞘の中に戻し、アンナは俺が入っていた寝袋へと入った。寝袋に入った彼女は一分と経たずに寝てしまった。身体的な疲労だけじゃなくて、精神的な疲労もあっただろうし、ゆっくり休んでもらいたい。
今俺の目の前にはルリアーナとアンナの二人が寝ている。つまり今起きてるのは俺だけだ。とはいえ特にすることもないしな……。こういう時は元の世界が恋しくなる。あの世界は暇な時間がなかったもんな。スマホがあったし。
魔法の練習でもしようか思ったけどマナは無駄遣いできないし。あれ、ほんとにやることない?よくアンナは五時間も過ごせたな。マナを循環させるだけならマナ消費しないか。とりあえず、マナ循環をしておこう。
それにしても、ここの制作者は何を思ってここを創ったのだろう。最初の壁に書いてあった文言は、ここの最後に何かがあるといったことが書かれていたし……。果たして次はどのようなものが待ってるんだろうか。また俺たち『侵入者』を試すようなことが待ってるんだろうな。
「ふぁ~あ、おはよぉ」
「あ、おはよう。よく眠れた?」
ルリアーナも起きてきたみたいだ。彼女は寝ぼけ眼をこすりながら寝袋から出てきた。
「眠れたよぉ。カルラと一緒に眠れなかったことだけが気残りだけどねぇ」
「寝られたならいいよ。アンナも起きたら行こうか」
それからしばらくしてアンナも起きだしてきた。
「よし、じゃあ行こうか」
俺たちは下の階へ向かう会談へと足を踏み入れた。
俺たちがここにきて約二日が経過しようとしていた。
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