第11話 初めての依頼

 翌日の放課後、俺たちは冒険者ギルドに集まっていた。冒険者活動をするためだ。ちなみに午前中の授業は、冒険者の心得みたいなことを学んだ。


「それにしても、冒険者って具体的にどんなことをするんだろう」


「受付の人に聞いてみればいいんじゃないかな?」


 そう言って、俺は受付のお姉さんのところに行った。


「かわいい3人組ですね。本日は冒険者登録ですか?」


 受付のお姉さんは、笑顔でそう言ってきた。


「はい、お願いします」


 そう言って俺たちは学生証を手渡した。冒険者学校に入ったら冒険者に自動的になる、と入学前に聞いていたが正確には少し違った。というのもされるのは冒険者の仮登録であり、自分で本登録をしなくてはならない。とはいえ、普通になるより様々な処理がなくて楽なのだが。


「ルリアーナさん、アンナさん、カルラさんの3名ですね。すでにパーティ結成をしてるとか。冒険者ギルドの説明を受けますか?」


 説明は聞いておいた方がいいだろう。俺たちはうなずいた。

 冒険者には主に稼ぐ方法が大きく分けて2つある。

 一つ目は冒険に出て稼ぐ。具体的に言うと、遺跡を探索して古代魔法文明の魔道具を見つけ出したり、魔物を討伐して、その素材を売ったりすることだ。


 もう一つでは、依頼をこなすことである。その依頼の斡旋をしているのが冒険者ギルドだ。依頼には様々なものがあり、危険度によってランクも決まっている。受けれる依頼は自分の冒険者ランクと同じである。

 冒険者ランクはS~Eまであり、最初はEランクから始まり、上がるには依頼をこなした量や討伐した魔物などを冒険者ギルドが総合的に判断する。

 尚、魔物の素材買取も、冒険者ギルドは行っている。

 要するに冒険者として生きていくのにサービスが手厚い冒険者ギルドへの登録は必須というわけだ。


「どうする?依頼受けてみる?」


「あたしはそれでもいいよ。アンナは?」


「いいと思うわ」


「でしたら、依頼はあちらの掲示板に張りだしているので、そこから選んで受付のほうに持ってきてください」


 俺たちは掲示板のほうに向かった。


「ファイヤーラビットの角を集める、ウィンドビーの毒液を集める、フードルウルフの毛皮集め……。今できるのはこれぐらいかな?」


「私はどれでもいいわ」


「じゃあフードルウルフの毛皮集めようよ!楽しそうだし!」


 俺たちの最初の依頼はフードルウルフの毛皮集めに決まった。依頼書を持って受付に受理してもらった。そして、町から出て森のほうへ移動した。

 今回の依頼は、持って帰ってきた毛皮1枚ごとに、3銅貨で売れるらしい。

 フードルウルフはE級の魔物で素早い動きをしてくるが攻撃力はそこまで高くないので、初心者には借りやすい魔物として扱われている。


「そういえば、ルリアーナはどんな魔法が使えるの?」


「あたしは回復魔法と、ほかの人を強化魔法で強化することぐらいかなぁ。あとは簡単な攻撃魔法ぐらいかな」


「それなら、基本的に強化魔法をかけてもらう感じになるわね。お願いするわ」

 

 そんな感じで話しながら森を歩いていると、早速フードルウルフを見つけた。まだこっちには気づいてないみたいだ。


「相手の数は5匹。私が3匹相手するから、アンナは2匹お願いね」


「わかったわ、いくわよ」


 その声と同時に、アンナは走り出した。まず最初の一太刀で1匹の首を切り、飛びかかってきた猛威匹の攻撃を避け、流れるような仕草でもう一匹の首も切り落とした。

 やっぱり、美しい剣筋だなぁ。俺は彼女の剣に見とれていた。ちなみに俺のほうは、風の魔法を圧縮した『ウィンドカッター』で3匹まとめて首を落としていた。


「この調子ならあたしの強化魔法は必要なさそうだね」


「そうとも言い切れないわ。強化魔法があればスピードは上がるし、回復魔法があるという支えで、多少無茶な動きもできるから」


 アンナは剣についた血を払いながらそう答えた。これ以上速くなってどうするというのだろうか。俺は倒したフードルウルフをマジックバックにしまった。っ冒険者ギルドで解体もしてもらえるからだ。


「何その袋」


「これはマジックバックって言って、師匠からもらったものなんだ。大体のものは入る」


「それなら荷物のことは心配なさそうね。次に行きましょうか」


 俺たちは次々とフードルウルフを見つけては狩っていった。


「これで、51体目っと」


 俺はフードルウルフをマジックバックに入れながら言った。


「そろそろ帰る?結構倒したし良いと思うんだけど」


「そうね、そろそろ日も暮れてきたしいいんじゃないかしら」


「どれぐらいのお金になるんだろうねー」


 そんな会話をしているとき、森の奥のほうから一人の女性が今にも倒れそうな様相で走ってきた。その女性が来ている服はボロボロで、ところどころから血が流れていた。


「助けてください!イミィーナが!ジュリーが!」


「まずは落ち着いてください!何があったんですか」


 俺は倒れそうな彼女を支えながら聞いた。


 彼女から聞いた話によると、彼女たちはC級冒険者の3人パーティで、森の奥のほうで魔物を狩っていたところ、普段ならいるはずのないサイクロプスという魔物が現れたらしい。サイクロプスはB級の魔物だ。C級の彼女たちで勝てるわけがない。今は残りの2人で耐えて、彼女は助けを呼びに来たという感じだ。


「彼女たちを助けてください!じゃないと彼女たちは……っ!」


 俺たちはお互いの顔を見て頷いた。


「その場所まで案内してもらえますか?」

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