第3話
イヤーカフを無くしたと自覚してから翌日。あの後気になってもう一度家の中を探したがやはりない。狭い町なので半月前イヤーカフをつけて買い物に行ったショッピングモールに、友達と行くことになったとき一番最初に問い合わせをしたがなかった。
「どこに行っちゃったんだろうねぇ」
「付き合わせてごめん」
「でも無くしものの多いあんたにしては無くさなかったほうじゃない?それにここまで探すのも珍しいよね」
「流石に人から貰ったものだからね…」
友達はにやりと笑い、肩を落とす私とは反対に楽しそうに服を選んでいる。他人の気持ちにとことん共感してくれるのは嬉しいが、私は友達のある程度寄り添うが一定以上の共感をしないところが一緒にいて心地がいい。
「でもいよいよ彼氏さんに無くしたことを言わないといけなくなったね」
「そうなんだよね…」
私の気持ちがまた質量を増す。彼女がプレゼントを無くしたとわかったらどんなに優しい男でも幻滅してしまうことだろう。もしかしたらこれが原因で別れてしまうかもしれない。起きてもいない妄想に恐怖をおぼえるが言わない方が不誠実かもと考えていると友達が口を開いた。
「それか同じものを自分で買うとかね」
「それもあったか…!え、でもちょっと感じ悪くない?」
「彼氏さんはイヤーカフを無くしたことをまだ知らないんだよね?じゃあ別にオーダーメイドとか限定ものでない限り新品に変わってもバレないって。素直に言って傷つけるより自分だけの秘密にすれば」
そういう手もあったかと目から鱗だ。確かに確実に傷つけるでありう事実を話すよりお金が解決するならそれが一番だと思う。
ただしあのイヤーカフが今も売っていればという前提である。
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