幾度となく、時が過ぎようと③
「さて、此処からは委員長である鳥伊さん主体でそれぞれの委員を決めてください♪」
「分かりました!」
ウカミに指名された未子さんは元気良く手を上げ、そのまま意気揚々と教壇に立つ。
その際「これを使って良いですよ〜」と一枚プリントを渡された彼女は軽くそれに目を通し、片手に持ったままクラスの皆を眺めこう言切り出した。
「それでは次に…」
クラス委員長は決まったから、次は何だろうか?
無難に美化委員とかかな。もし図書委員で2人だったら俺と明になりそうだけど、出来ればコンと一緒が…。
チラリとコンを見ながらそう考えていると、目が合ったコンはくすっと微笑みをくれる。
あぁ…可愛いなぁ。次の委員会次第ではコンと二人で手を
「----朝までそれやって委員会のお時間で」
「「ちょっと待てぇ!!」
上げるよりも先に、コンと声を揃えてガタッ!と立ち上がってしまった。
「あ、紳人くんと柑ちゃんやりたい?」
「いやそういうことじゃなくて!あとそれ多分学校でやるやつじゃないよね!」
「やっぱり語呂が良くなかったでしょうか…」
「ツッコむポイントが一つ増えたのじゃが!?」
絶対ウカミが渡したプリントが原因なので、席を立ったついでにウカミへ詰め寄る。
『何だ何だ、乗っ取りか?』
『神守家漫才の時間だろ!』
『よっ待ってました!』
「じゃかぁしい!」
外野がガヤガヤ盛り上がり始めたので、慌てて宥めようとするも一切落ち着かない。
仕方ない…此処は放っておこう。
あとそこでくすくす笑ってる姉さん?絶対楽しんでますよね、ナゼミテルンデスッ!?
「未子さんも付き合わなくて良いんだよ?」
「ごめんね、面白そうだったからつい♪」
肩を竦めペロリと舌を見せる未子さん。まるでウカミのようだ…彼女まで俺やコンの反応を楽しみ始めたら、大変だぞ?
今でさえ、そんな兆しもあるのに。
「それじゃあ気を取り直して」
未子さんが皆を見て話を戻すのを見てホッと胸を撫で下ろす。
俺もコンもやれやれと自分の席に腰を落ち着けた。
「夜までやらな委員会のメンバーを」
「天丼!?」
〜〜〜〜〜
その後は特段迷走することもなく委員会は決まっていき、悟と明は図書委員になり俺とコンは広報委員会になった。
広報委員会は月の初めに校内の出来事などを新聞のように掲示する委員会だ。
以前は面倒だと思って何もしなかったのだが、コンと思い出作りに何かしようということで立候補したのである。
「あ、紳兄とコン姉!お話は終わった?」
「カナメ。いつの間にかいなくなってたね…」
「大方退屈じゃったとかであろう」
「正解〜」
にへ〜っと無邪気に笑うカナメ。まぁ彼からしたら、こんな時間は暇だったに違いない。
休み時間の今は構ってあげるとしよう。階段の影で人目にもつかないし。
「……」
「ん?どうしたの、コン」
「わしの胸は何故成長せんのじゃ…」
「……ごめんなさい」
カナメの頭をポンポンと撫でる傍ら、自身の胸を凝視するコン。
彼女がポツリと漏らしたその言葉は。
俺にコンの胸の揺れだけを追えるように頑張ろう…と凄く変態的な決意を抱かせる。
「紳兄」
「何だいカナメ」
「コン姉はどうしたの?」
純粋無垢な少年の神様。そんな彼の口から放たれた疑問は、ヴッ!!と俺に致命的なダメージを与えた。
そしてキラキラとした眼差しは曖昧な回答で誤魔化すことを俺に許さない。
いや、俺がただ圧を感じているだけなんだけど。
「カナメは、好きな女の子が出来たらよそ見したらダメだよ…」
「紳兄。その、真っ白だね?」
コンが自分の胸に夢中の内に、カナメへと大事な教訓を授ける。
本当に…色々と危ないからね!
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