二人して、鳴り響く④
「さらばじゃよ〜!」
「俺よ、アマ様のこと頼むね」
「うん!僕、頑張る!」
「そこは妾に頼むところではないのか!?」
「「だって、ねぇ?」」
小さい俺とニッとはにかんで笑い合う。
あれから一夜明け、お昼を皆でのんびりと過ごして夕方。
そろそろ帰ろうかということになり、アマ様に開いてもらった『門』の前でお別れの挨拶というわけだ。
「帰るぞわしの紳人よ!」
「私たちの弟くん、行きますよ〜♪」
「は〜い!」
結局コンも俺が二人いることを認めたみたい。
理由は…「紳人が魅力的なのは仕方ないからの!神様として、幸せのお裾分けくらいしてやらねばなっ」とのこと。
流石は我らがコン様、心が広い!
俺としてもこのまま特段異常が無いのであればアマ様も喜んでるし、小さい俺も折角の誕生を謳歌したいだろうからね。
彼のしたいようにさせてあげようじゃないか。
「それでは、また近いうちに〜!」
「うむ〜!」
「さようなら〜」
「またの!」
「紳人くん、コン様、ウカミ様、お気を付けて!」
「また会おうね!」
アマ様、コトさん、小さい俺に別れを告げて俺たち三人は『門』を潜った。
「……さぁて!彼奴らも帰ったことじゃし、妾達もお楽しみといくか!」
「はい、アマ様♪」
ボシュン!!
「はぇ?」
「あら」
〜〜〜〜〜
「いや〜!久しぶりの我が家って気がするよね」
「うむうむ、突発的な『神隔世』での2泊3日じゃったからな」
「とりあえず晩ご飯の材料を買いに行きましょうか」
特段荷物も無かったので、束の間俺やコンは伸びをしてウカミは微笑ましそうにそれを眺め外へと出ようとした。
その瞬間だった。
「……ぉぉぉい!!」
「!?」
ガタァン!!思い切り冷蔵庫が開け放たれ、ドッと背中から何かに押し倒されてしまった。
「あ、アマ様!?何故こっちに来たのじゃ?」
「初めてですね…」
「おぉ!此処が紳人の…と、そうじゃ紳人じゃ!」
床を一回転させられアマ様の額の紋様まではっきり見えるほど近くから、涙目のアマ様が俺の胸板にたわわな果実を押し付けながら叫ぶ。
「紳人が…妾の紳人が消えてしもうたのじゃ!」
『……え?』
俺とコンとウカミ。神守家三人の心が一つになり、頭に疑問符を浮かべた。
あんなに元気そうだったのに…一体何故?
「もう、アマ様!慌てすぎですよ?」
「コトさん。いらっしゃい」
「お邪魔しますね、紳人くん♪」
「「言うとる場合か!?」」
遅れてコトさんも我が家へと降り立つ。
とりあえず迎え入れると礼儀正しくお辞儀を返されたが、コンとアマ様には揃って驚かれてしまった。
アマ様の時は突然だったけど、コトさんが来るのは何となく予想出来たからね。
「それより、いつまでわしの紳人に抱きついてるんじゃ!離れぬか!」
「じゃって消えちゃったんじゃもん!」
「コトさん、どういうことですか…?」
ぐぎぎと俺から引き剥がそうとするコンと嫌じゃ嫌じゃと抵抗するアマ様。
「はい…先程、紳人くんが最後に『神隔世』から離れた瞬間小さな紳人くんも消えてしまったんです。突然、ボンッと」
「うーん。俺がいないと存在できないのか…」
「まぁ、アレは弟くんの影ですからね。弟くんが同じ場所にいなかったら存在していられません」
「え?」
ニコニコとウカミが笑うと、皆の視線が集中し尚も微笑みを浮かべたままの彼女に恐る恐る訊ねた。
「……全部、気付いてたの?」
「はい♪」
「妾の紳人が消えることも?」
「えぇ!」
自信満々に頷くウカミについにアマ様が限界を迎えたらしい。
涙目でウカミの分のプリンを食べる姿を、部屋の隅に縛り付けたウカミへ見せ付けていく。
イタズラも…程々にね?
コンやコトさんとやれやれと笑い合うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます