賑わいながら、深まる夜③
「紳人の罰ゲームならわしでもよかろう!代わるのじゃ、ウカミ!」
「え〜少しくらい良いじゃありませんか〜♪」
「良いわけないが!?」
コンが詰め寄っても俺を離そうとしないウカミ。
あぁあまりむぎゅむぎゅは!柔らかなものが後頭部に当たってるから!
「むぅぅ!ならばこうじゃ!」
コンは俺を後ろから抱きしめるウカミを過ぎ俺の前に立つとくるっと背を向け…すとん、とあぐらをかいた俺の膝の上に座る。
「このままゲームを続行せい」
「まぁ♪」
「えっと……」
ブンブンと尻尾を振って頬を膨らませるコンが可愛くて、つい皆が見ている前なのにナデナデと頭を撫でてしまった。
コン、俺、ウカミで神守一家が連なった光景を見た皆の反応は…。
「何つうか…紳人、お前って」
「本当に三人仲良しなんですね!」
「凄く…楽しそう」
「あれ?紳人くん照れてる?」
やれやれと言った様子で微苦笑している。未子さんに至っては、完全に俺を揶揄ってきているくらいだ。
「それは仕方ないよ、コンもウカミも綺麗なんだから」
「紳人…」
「弟くんったら。いつからお姉ちゃんを誘惑するようになったんです?」
「なしてぇ!?」
顔を赤らめてもじもじするコンとは対照的に頰に手を当てて尻尾を揺らすウカミ。
素直な感想を口にしただけなんだけど…。
周囲を見ても、誰も答えてはくれない。
「さて。早うゲームやるのじゃ」
「コンさん!?」
ニコニコ笑顔のコンに先導されるようにコントローラーを構えていく。
結局、俺とコン、悟と明、未子さんと真奈ちゃん、ウカミの四組に分かれてゲームをプレイした。
笑いの絶えない、本当に素敵な時間だった…このお泊まり会を開いて良かったと心から思えるひと時だった。
〜〜〜〜〜
「ふぁぁ…もうこんな時間か」
「お兄さん、まさかもう寝るって言いませんよね?」
「へ?皆は寝ないの?」
「紳人くぅん…お泊まり会なのに夜更かししないなんて!」
「そうだぜ紳人、勿体無いだろ!」
「(無言の頷き)」
時計を見ると、時刻はいつの間にか日付を回ろうとしている。
そろそろ皆で就寝の時間かな…と思ったら、どうやら誰も彼もあの明でさえもウキウキした様子で夜更かしする気満々だった。
「でも、夜更かしはお肌の天敵だよ」
『お前は乙女か…』
『しっかりと健康にも気を使っているということであろう』
皆より早くトコノメがフッと笑いながら反応を見せ、ラスマもしきりと頷く。
俺がというより女の子たちが…いや、何も言うまい。
恩着せがましくなっても申し訳ないからね。
「大丈夫!折角のお泊まり会、いっぱい楽しもっ!それとも…紳人くんは眠い?」
「……ううん。こんなに楽しいのに、眠気なんて湧いてこないかな」
「じゃあ、もっと…遊ぼう」
「そうだね明。沢山、ゲームしよう!」
そうこなくっちゃ!と盛り上がりペア分けを変えるべくわいわいと話し込む。
そんな皆を横目に、コンとウカミに声を掛ける。
「ごめん、コン、ウカミ。もう少しだけ皆と遊ばせてほしい」
「なぁに。わしらのことは気にするでない!お主にとっても初めてなのじゃから、目一杯遊ぶが良いぞ!」
「遠慮しないでください…ね?」
「ありがとう、
前と後ろから優しげな笑みを向けられ、俺は心からの幸せを胸に再び皆とゲームに興じるのだった。
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