第47話

豪邸と、混迷と①

「紳人くん、その子誰?」

「彼女は心音真奈ちゃん。この前神様関係でトラブルに遭遇してたから、俺とコンで解決したことがあったんだ」


真奈ちゃんの視線にたじろいでいると、ひょこっと未子さんが脇から顔を出した。


誤魔化すのに丁度良かったのでそれを利用して真奈ちゃんを紹介する。


「真奈ちゃん、この人は鳥伊未子さん。俺のクラスメイトで仲良い友達なんだよ」


ついでに未子さんを示しながら真奈ちゃんにも紹介した。


「そういえば。真奈さんを助けるときに、ご飯を忘れちゃった人たちがいましたね…?」

「「ごめんなさい!」」


フッと目元を細め意地悪に微笑んだウカミの言葉に、反射的に俺とコンは揃って頭を下げてしまう。


当時問題を解決することばかり考えており、俺たちは買い物に向かう途中であることをすっかり忘れちゃったのだ。


その結果手ぶらで家に帰ることになり、暗黒微笑で出迎えプリン抜きを宣言した時のウカミは、凄く怖かったよ…。


「うふふっ、冗談ですよ♪」

「性質が悪いぞウカミよ…」


ホッと胸を撫で下ろすコンにくすくすと笑うウカミは、とても楽しそうである。


「お兄さん…そのウカミさんは、コンちゃんと同じ神様なの?」

「えっ。と、そっか。真奈ちゃんはウカミとは初対面だったね」


コホンと咳払いしてウカミの隣に立ち、三度目の紹介をした。


「彼女はウカミ。俺とコンの保護者兼、神様を取りまとめる神様だ」

「今後とも、弟くんをよろしくお願いします」

「真奈です…任されました!」


真奈ちゃんは礼儀正しくぺこりと頭を下げると、可愛らしい笑顔を見せる。


新たな縁が結ばれるのを見るのは何だか心地良い。


「お兄さんたちはもう春休みですか?」

「うん。それで、近い内にお泊まり会を開きたいなって話してて」

「お兄さんのお家!私も行きたい!」

「真奈ちゃんもお泊まり会を!?ごめんね、場所が見つからなくて開催自体が怪しくて…」

「そんなぁ」


ガックリと肩を落として露骨に残念がる真奈ちゃん。


何か良い方法はないものか…。


「ふむ、では紳人の家が広ければ良いのじゃな?」

「まぁそうなる…のかも?何れにしろそんな場所は」

「これこれ、お主よ。わしやウカミが何者か、忘れた訳ではあるまい」

「それは勿論俺の神様だけど…」


くいくいと俺の服の裾を引いて自分に視線を誘導したコンが、ふふんと得意げに鼻を鳴らして胸を反らす。


そしてそのまま、神のお告げを下々の俺たちへ自ら通達した。


「つまりは一時的に、紳人の家内部の空間を弄るのも容易いこと!最初はわしらを気遣うその優しさを尊重しておったが、今はお泊まり会を開きたいと考えておろう?


なれば任せるが良い。簡単ではないが、他ならぬ紳人の望みであれば喜んで力を振るおうではないか!」

「コン…君は何て素敵な神様なんだ!」

「むふふ〜そうか、そうか〜?」


うんうんとしきりに頷き尻尾をパタつかせる姿は、可愛らしいの一言に尽きる。


コンとウカミが居てくれて…本当に良かった!

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