団欒は、甘く揺れて③
「それじゃあ、父さんたちはそろそろ行くな」
「また会いましょうね〜」
父さんと母さんが来てから2時間弱。
お昼時になったタイミングで、父さんたちは我が家を出ることに。
「ありがとう父さん、母さん。気を付けて」
「うむ!息災にな」
「プリンありがとうございました♪」
俺たちも三人総出で下まで出迎えると二人の車が見えなくなるまで手を振り続けた。
「……さて、俺もゲームを売りに行く準備しないと」
「紳人。そこは俺たちも、と言うべきじゃな」
「え?でも」
「そうですよ紳人、まさか自分一人で行くなんて寂しいこと言わないですよね?」
思い切りバレている…。
そう。何を隠そう俺はゲームを売りに行って帰ってくるだけだからと、コンたちにはのんびりお留守番してもらおうと思っていたのだ。
ジトッと目を細めながら腕を組んだコンに下から睨むように見つめられ思わず一歩後ずさる。
「ふ〜ん?お主、そういうことするんじゃな〜。ほ〜う?」
「いや、ほら。やっぱり
ぺしん!ぺしん!と尻尾がしなり地面を叩くので、割と本気で拗ねていると分かった。
慌てて言い訳するものの、ますます勢いを増すものだから確実に墓穴を掘っている。
「最後にもう一度だけ聞くぞ。この後は…どうするのじゃ?」
しゅるり…と打ち付けられていた尻尾は俺の首へと回され、ガッチリと固定されては洗濯の余地などない。
「……一緒にお出かけしてください」
「うむっ、では支度を急がねばな!行くぞウカミ!」
「はいっ!すぐに済ませますね!」
脱兎の如く駆け出していく神様たちを俺も慌てて追いかけ、速やかに出かける準備を終え街へと繰り出した。
〜〜〜〜〜
「いやぁ…正直ここまで良い売値が付くとは思わなかったよ」
「保存状態が良かったみたいじゃのう、僥倖僥倖」
結論から言えば、かなり良い値でどのゲームも買い取って貰えた。
普段からお掃除したりパッケージに傷があまり付いていなかったことも、保存状態を保つことに一役を買ってくれたんだと思う。
ホックホクになりながらコンやウカミと雑談しつつ家路を辿る。
すると、後ろから不意に慣れ親しんだ声が聞こえてきた。
「あれ?紳人くん?」
「ん…あぁ、未子さん!」
振り向けば其処では私服姿の未子さんがフリフリと可愛らしく手を振っている。
『相変わらず、お前たちは仲が良くて何よりだ』
「褒めても何も出ないのじゃ」
『……まぁ良い』
恐らく揶揄いとかも込めていたはずだけど、コンが嬉しそうに両手を頬に当てるものだから毒気を抜かれたらしい。
トコノメも微苦笑しながら未子さんの傍らに降り立った。
「どうしたの、こんなところで。あっもしかしてデート中だった?お邪魔しちゃったかな!?」
「落ち着いて未子さん、こんな肝の据わったデートは普通の人間には出来ないから!」
「やっぱりデートなんだ〜!」
「あれぇ!?」
ハッとした表情になる未子さんにやんわりと否定を示すと、何故かより一層目を輝かせてしまった。
あっれれ〜おっかしいぞ〜?
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