あの日から、瞬いて④

テウとは先月に出会った。


出会った、というより導かれたというべきかな?


お昼休みに屋上前でコンとの穏やかな時間を過ごしていたある日、晴れていたはずの天気が急に雨に変わる。


何事かと屋上へ出てみればそこには土地神であるテウの姿が。


失礼でもしちゃったかな…そう身構えた時。


彼女から告げられたのは。何と恋愛相談!?


しかもその意中の相手はもうすぐ引越ししてしまうという。


大慌てで飛び出して何とか先輩を引き留め、学校の屋上で待つテウと引き合わせることに成功した。


…結論から言えば引越しは一時的なものかつ、リフォームの間近場に引っ越すというだけのもので。


そうしてテウと件の人、如月先輩の日々は始まったのである。


「今回はどちらかと言うと俺が追っている側なんだけどね」

「あらそうなの、珍しいこともあるものだわ。お相手はコンたちかしら?」

「あぁ。合流しようと思ったら、もういなかったんだ」


肩を竦めて見せれば目を丸くして自身の頰に手を当てられた。


俺もあまり追う側は得意じゃないんだよね…鬼ごっこの話だけれど。


「ん〜……これ、多分裏山ね。二神とも一緒にいるみたいよ」

「えぇ!?そっか…入れ違いがあったのかも。ありがとうテウ、如月先輩に会ったらよろしくね!」

「これくらいお安い御用だわ。気をつけて〜」


ひらひらと腕を組んで尻尾をその手代わりに振る。


その様に微苦笑を溢しながら、再度礼を言って俺は裏山へと早歩きで向かうのだった。


〜〜〜〜〜


「コン、姉さん!」


裏山へと入りあの小さな社の前へと辿り着くと、そこにはコンとウカミが並んで立っていた。


数秒森林に囲まれながら太陽と月のように煌めく二神に見惚れ…ふと我に返って声をかける。


「おぉ紳人!何処に行っておったのじゃ?」

「多分其方から来たということは、入れ違いになってしまったみたいですね…」


すると、コンが先に花のように可愛い笑顔で振り返り一拍後にゆっくりとウカミが振り返った。


俺がこの場に居なかったことから気付いたらしい。


ウカミは僅かに肩を揺らして、そう呟く。


「学校中探したんだ。この一ヶ月…もうすぐ二ヶ月の思い出を、振り返るみたいで楽しかったよ」

「ふむ、なるほどのう。ではわしらの思い出も当然振り返るのじゃろうな?」

「コンとウカミに出会ってからの毎日は濃密すぎて振り返り切れないなぁ」

「いえいえ、大丈夫です。何せ」


左からコン、右からウカミに腕を組まれ下から上から金色の瞳と赤の瞳に見つめられ視線も体も逃げ場を失った。


「そうじゃな。何せ」

「「時間はたっぷりあるのじゃから(ありますから)」」


時間は瞬くように過ぎていく。けど、同じくらい沢山の思い出が増えていくから。


毎日振り返っても…足りないかもしれない。


そんなことを、思うのだった。

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