勉強こそが、学生の本懐?③

勉強会から一夜明け、2月17日。


数学、物理、英語と鬼門ばかりだったが真剣に向き合ったことと教えを乞うた人と神様が優秀だったこともあり。


その日はどれも平均点は取れた手応えを感じた。結果は来週になるまで分からない。


足早に皆で帰宅し、昨日と同じように勉強会を開いた。


翌日は音楽、美術、保健体育と副科目が詰められていたが、どれも授業を聞いていれば70点前後は確実に取れる教科だ。


なので、その日はコンに教えることがメインだった。


覚える能力も早く、テスト範囲はあっという間に終わってしまったので皆でテレビを見て和んでその日はお開きとなる。


2月18日。昨日学んだこともあり、大して躓くこともなくその日のテストは終わった。


そして、テスト期間最終日たる2月19日の科目は情報と公民の二教科だ。


一見どちらも簡単な教科に思えるこの2つ。


想像通り、公民の方は全員得意で1時間かけて平均点以上は確実なまでに仕上がったのだが…。


〜〜〜〜〜


「C言語?ORNOT回路?よく分からんのじゃあ…」

「そっかぁ…これが苦手だったか」


目を回して机に突っ伏すコン。ウカミも少し困ったように頰に手を添えており、未子さんも教えるのが少し緩やかだ。


「コンは、パーツ単体じゃなくて回路になった時が難しいんだね?」

「うむ…0を1にしたり、反転じゃったり。組み合わさるとこんがらがってしまうのじゃ」

「あぁ…その気持ち分かるな。俺も最初の内はてんで分からなかったよ」


一つ一つを合わせて考えようとすると、どうにも答えが分からなくて苦しんだ記憶が鮮明に残っている。


そして、そんな時の対処法も。


「そういう時は思考を変えてみよう。例えばこの例題」

「ふむ」

「0をコン、俺を1だと考えてみて。そしてどちらの遺伝子が強い子供が産まれるかを考えるんだ」

「こ、子供じゃと…!?」

「始まりが0と0ならこの数値なら1になって、0と1でも1になる」

「……つまりこのパーツであれば…1と1なら、ここは0になるわけじゃな?」

「そうそう!正解」

「おぉ!では此方は…!」


一度成功体験を得られれば、コンはあっという間に覚える。


スラスラと例題を解き終え、俺も解けない問題を容易く解いていく。


全問解き終え、可愛く満面の笑みを浮かべて肩を密着させてくるコン。


耳を伏せて撫で受けようとするので、お望みのままに優しくなで…なで…と髪を梳かすように撫でる。


「……突っ込んだらダメなんですよね、これ」

「そうですよ、楽しんで眺めているのが1番です」


暫くコンと見つめ合いながら寄り添っていると、何処か脱力した雰囲気のウカミと未子さんが手を止めて話すので慌ててコンと拳一つ分距離を離した。


「それにしても…大胆ですね、弟くん。もう子供の話をするだなんて」

「へ?あ、いや!それが分かりやすいかなって…!」

「確かにそれなら、離れることなんてないよね〜。さっすが紳人くん、男前だぁ♪」

「だからそれは違くて!」

「子供は何人欲しいかのぉ、だ•ん•な•さ•ま♡」

「コンまで!?さっき顔真っ赤にしてたよね!?」

「そうじゃな…けど今は、お主が真っ赤じゃぞ?」


ニヤリと目を細めて獲物を睨むように笑われ、思わず顔を両手で隠す。


しかし時既に遅く、俺は今日の勉強会がお開きになるまでこの件で揶揄われ続けるのだった。


中々恥ずかしかったけど、結果として明日のテストはバッチリだろう。


コラテラルダメージと割り切るかな…。

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