第4話 脱出作戦!
あの恐怖の持久走から数日後の朝、僕は眠い目をしながら学校の用意をしていた。
「今日学校休みらしいわよー。」
お母さんが言ってきた。何かあったのかな。
「なんか、例のひったくり犯が学校に入っていったらしいわ。」
「!?」
どゆことだ?
「ちょっと、こうたろうの家行ってくる!」
「外でたらダメよ。まだ犯人捕まってないみたいだし。」
「うん、わかってる孝太郎の家からは出ない!」
僕は家を飛び出しこうたろうの家へ走る。すると、家の玄関から孝太郎が出てくるのと鉢合わせた。孝太郎もこっちに来るところだったようだ。
「聞いたか?」
「うん。」
「よし、一旦入れ。」
こうたろうの目はもう既に探偵モードだ。超ワクワクしてるんだな。不謹慎だけど。
孝太郎の部屋に入ると、直ぐにパソコンを開いた。
「さすがにまだ、犯罪発生マップにも載ってないか。」
事件は今朝発生したばかりらしく、新聞なども採り上げていなかった。
あっ、いいこと思いついたかも。
「SNSとかどうだ?Titterとかならもう投稿してる人いるんじゃないか?」
「ないすあいでぃあ!」
相変わらず発音は改善されていない。
「おっ、あったぞ!」
『近くの学校にひったくり犯が侵入したって やばくね?』
という文章に近所の写真が添えられていた。
「他には?」
『うちの友達、入っていくとこ見たんだって!怖っ。上下黒ジャージに帽子とサングラス、黒マスクまでして、めっちゃ怪しかった😱』
リプ欄に有益情報。
「これ以上はないか。まだ起こったばっかだしな。…そうだ!」
孝太郎がなんか思いついたらしい。
「なんだ?なんかいい方法があるのか?」
「ふふふ、校門前の駄菓子屋だよ。」
あっなるほど!たしか最近防犯カメラ付けたって店のおばあちゃんが言ってた!僕らはあそこの店には馴染み深い、というのもあの駄菓子屋は華奈のおばあちゃんがやってる店なのだ。
でも…。
「僕、家から出るの禁止されてんだよね。」
「大丈夫、大丈夫!一瞬見てくるだけから。」
「おまえもお母さん許してくれんのか?」
「ぬけだす!」
…後でやばそうな気がするが。
「そうと決まれば、早速。」
と言って孝太郎が自分の部屋の窓から身体を乗り出す。
「ちょっと!危ないって!」
「おらはやくこい!」
孝太郎が窓の向こうから手を伸ばしてくる。
ああ、もう知らね!行ってやる!
「お、おっと!」
僕は転びそうになりながら何とか窓の外の屋根に乗った。
孝太郎はそこから塀へ飛び移り、地面に着地。
真似しろみたいな合図をしてくるが、僕ができるか!
「えいっ!」
何とか塀に飛び移ったが、バランスを崩してそのまま地面にしりもちをついてしまった。
「いててて。」
「さあ、行こう。」
孝太郎が静かに玄関を出ていった。
ったく、こっちの心配くらいしろよ。
そうして僕らは駄菓子屋へ向かった。
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