第2話 お泊まり会しよ!

放課後、家に荷物を置くとすぐに孝太郎の家に向かった。僕の家からあいつの家までは徒歩1分もかからない、目と鼻の先にある。

「いらっしゃい!」

孝太郎は玄関前でずっと待っていたようだ。早く調査したいんだろう。

「お邪魔しまーす。」

僕は孝太郎のお母さんに軽く挨拶して、孝太郎の部屋に入った。

「早速始めるぞ!」

そう言って孝太郎はお母さんに借りたであろうパソコンを取り出す。

「まず、県警のサイトに行ってー、あったあった。犯罪発生マップ!」

見せられたのは、普通の地図にビックリマークや、警察のマークが書かれているマップだ。

「このビックリマークが犯罪が起きた場所。警察のマークは交番と警察署を表してるんだ。」

なるほど。これはわかりやすいな。

「結構真面目に調べてるんだな。」

「当たり前よ! んで、ここら辺の地域を見ると…あった!この盗難事件。」

「俺らの学校から結構近いな。」

その盗難事件は最寄りの駅の近くの車も通る道で起きていた。

「あっ、概要も見れるぞ。」

事件が発生した日付と内容、そして犯人の特徴が書かれているようだ。まとめると、

一昨日の午後6時、駅の近くの車道沿いを主婦が歩いていた際、後ろから走って来た男にぶつかられ荷物も取られたそうだ。犯人は、20代から30代、黒パーカーでフードを被っていたらしい。

なかなかの情報だ。

「早速情報が手に入ったな。よし!次は…何調べる?」

僕に聞いてきた。自分ではここからのことを考えていなかったのだろう。僕は、はぁとため息をついてから言った。

「地元新聞社の記事を調べるとかどうだ?」

「ないすあいでぇあ!」

……そういえば、こいつ英語全然出来なかったわ。


それから、色んなところを調べたが、警察の情報以上のことは得られなかった。

「今日はこのくらいにするか。」

そろそろ疲れてきた僕は、そう言って孝太郎のベットへダイブした。

「えー、もう終わりかよ。」

いつまでも元気な孝太郎さんは不服そうだ。

僕が部屋の漫画を手に取り、読み始めようとした時、

「ご飯できたわよー。馨くんも食べてく?」

下の階から孝太郎のお母さんの声が聞こえた。

「はーい。おまえも食べてけっ!」

「わかったよ。」

小さい時からよく遊んでいて一緒に食事をするのはしょっちゅうなのだ。

「夕食ありがとうございます。」

階段をおりて、孝太郎のお母さんに言った。

「どうぞ、座って座って!お母さんには連絡しとくね。」

昔からの付き合いなだけにお母さん同士でも仲がいい。僕は席に座るとどでかいトンカツがでてきた。これは孝太郎のお母さんの得意料理なのだ。あと僕の大好物でもある。

夕食を食べていると孝太郎がこんなことを言った。

「今日お泊り会しようぜ!」

「え、いや明日も学校あるだろ。」

「えー、いいじゃん。ママ、いいでしょ!」

「いいわよ。馨君も久しぶりに泊まっていけば?それにこんな時間に帰ったら怒られるんじゃない?」

僕はちらりと時計を見た。7時…。うちの門限は6時…、ここはお言葉に甘えさせてもらおう。

「じゃあ、お母さんにも言っとくわね。お風呂はいつでも入れるわよ。」

お母さんに僕から言わなくていいのはとても助かる。


僕は夕食を食べ終わり、孝太郎の部屋でお風呂の準備をしていた。何回も泊まったことがあるので、お互いの寝間着がお互いの家にある。

と、その時後ろから孝太郎が抱き着いてきた。

「一緒に入ろうぜー!」

「やだよ。ってか、はやくどけ。」

僕は孝太郎を払いのけ、ふろ場に向かった。

「待ってよ~。」

とついてくる孝太郎は無視して僕は脱衣所に鍵をかけた。


ふうぅ、いい湯だった。

「お先でした。」

次に入る孝太郎に声をかけて部屋に戻る。

「一緒に入りたかったなぁ。」

何かつぶやいてるが、気にしない。

部屋に戻っても暇だし、今日分かったことをノートにまとめるとしよう。

「っと、鉛筆はどこかな。あ、あった。」



「―い。おい!おきろ!」

「わあ!」

急に起こされて変な声が出る。ぼくはねてたのか?

いや違う、僕はまとめノートを作っていて…って完成してる!

「お前が書いたのか?」

「いや、俺は風呂から出たばっかだ。」

ならどうやって?僕は本を読んでる時しか、意識を失わないのに。

「新しい発見だな。ってか見ろよこれ、恐ろしくきれいにまとまってるぞ!」

確かに。僕にこんな能力があったなんて…。

「感想文とか書いてるときは、ならなかったのか?」

「いや、今まで一度もない。」

どんな条件で発動するのだろう?

「まあいいじゃねえか。今日は寝ようぜ。」

そうだな。なんだか疲れた。

そして僕は布団に入るとすぐに眠りについてしまった。




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