#24 少女の重い
【オオモリ城壁基地(地下) 廃材置き場】
「ナットナット、手伝ってもらえるのは有難いんですが」
[く[訓練は昼からdだし、上官たちhは見回りに行ってるよ]ー」
「そうですか」
戦鋼の通信機は、飛びや雑音が見られますね。
回線を切って、次のテストを行います。
「それより、戦鋼は大丈夫なのー?」
「大丈夫です────絶対は言い切れませんが」
操縦棒のスティックを回します。
いびつな金属音。
画面に映るは、六角少女。
(頭部のカメラは、及第点ですね)
追従性が遅いとか、画像が荒いとか、思うことはありますが。
全て、今更な話です。
「これはどこに付ければいいのー」
「それ、気を付けて触れてください」
再利用して作った武器なので、安全性が保障できません。
最も、起動してもキチンと飛ぶかすら怪しいですが。
「あいあい「ピッ」────へッ」
土煙が操縦席まで飛んでくるとは。
「だ、大丈夫ですか」
「な、何とかだよー」
(起動装置の接着でも甘かったでしょうか)
ともかく六角少女が無事でよかったです。
「あれー、崩れた先になにかないー?」
「空洞ですか?暗くてよくわかりません」
『大方、
「隠し通路ってことですか」
『考えたものだ。まさか、鳥カスが地下から逃げるとは思うまい』
昔の城塞を改築したとか言ってましたっけ。
(それなら、抜け道の一つや二つはありそうですね)
少し浪漫を感じてしまうのは────気配ですか?
「ナビィ......何かいませんか」
『冗談はよせ。放棄されて......いや気を付けろ』
暗闇に浮かぶ、赤点。
しかも、単体ではなく多数。
「ナットナット後ろに下がって────初級-強化魔法」
正面装甲を落とし、
「機体が動かない」
『コッチが準備もしてないのに、動かせるかッ馬鹿者』
何やってるんですか、
敵は目の前まで迫ってきてるんですよ。
「ナビィ、何秒要りますかッ────」『────90いや、45秒だ』
画面に映るは、青い肌の人型。
人型ですが顔は、魚。
(見かけだけなら魚人ですか)
本当に何でもいますね、異世界は。
「わ[私g、時間を稼ぐよッ]ー」
「ナットナットッ」
◇◆◇
ナットの付いた黒髪をなびかせ、動き出す。
転がっていた
(無理なのは、自分が分かっている)
攻撃魔法は知らないし。
まともに戦闘したのは、訓練学校が最後だ。
(彼女を見捨てて逃げるのが賢いんだろうなぁ)
彼女と居たのは────たった数日。
部屋に帰っても来ず、地下で戦鋼いじってるし。
食堂に行かず、レーション食べてるし。
同期なのに、私に全く話かけてこないし。
私もライライちゃんの事、これっぽちも知らないけど。
(それでも、ライライちゃんの頑張りを無駄にさせるわけにはいかないんだよッ)
これから知るためにも、
友達になってもらうためにも────私は走る。
「
スパナを淡く光らせ、
「oYKKQXmBQj?」
「悪いけどッ、もらったよー」
幾重にも反響する金属音。
音は、攻撃が当たったという証拠でもあり、
────弾かれたということでもある。
鱗には傷一つもない。
全く、己の非力さが悲しく、笑いたくなる。
「やっぱり、効きもしないかー」
すぐ後ろに跳んだのは、賢かったかもしれない。
でも、囲まれちゃうか。
「JheftVaKI!」
「jPyTyCYuSN⁉」
「xAhBMeFJe!」
逃げてれば、生きてただろうなぁ。
ごめんね、皆。
「はは、もうちょっと優しくても───ガハッ───……」
私の視界は黒く染まった。
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