#11 家に帰るまでが遠足です
『ずいぶんとお眠りだったな』
「疲れていたもので」
左を見ます。
部屋の時計が差す時刻は、
基地には窓がないので、外が暗いか明るいかは分かりませんね。
久しぶりに、よく寝た感じです。
人と話すのは疲れる、ということでしょう。
『
昨日、いいことでもありましたか?
「ふぁィにしても体が重く感じます」
(疲れが抜けていないのでしょうか)
右を見ます。
『全く、兵士としての自覚は無いのか』
「幸せそうですね」
彼女を剥がし、自由を得ます。
周囲は思ったより散乱していません。昨日、一緒にいた
「
『ずいぶん優しいことで』
「まさか」
部屋の隅に、
見かけによらず重たいです。ポケットの中に何を入れているんですか。
漁ると────鏡、縦長の機械、メモ帳......可愛いカードケース
「ありましたか」
カードケースを開くと、
【[名前:
上の権限のパス。仮パスで開かないドアが、ようやく開くようになるハズです。
『意外と考えているんだな』
「もちろん、いつも考えています」
部屋のドアを開けます。
残されたのは、制服を上にかけられた
◇◆◇
以前来た道を辿り、【保管室】扉の前に来ます。
早朝ですから、通行人はいませんね。
ならば扉の中を確かめた後、地下を探索と行きますか。
「好機ですね」
飛び上がり、
電子音と共に、扉が左右に割かれ、内部が露になります。
「薄暗いですね」
『反応は、部屋の右横だ』
灯りが欲しいところですが、光を見られるのは危険ですね。
目を凝らして見ると、剣や盾などが置いてあります。
『ここがドロップ品の保管庫か』
「ドロップ品とは、魔石とかのですか」
『ああ、それに時々落とす品も含まれる』
一見、ガラクタにしか見えない。いや、異世界産だから特別な効果でもあるのでしょうか?厳重な管理が、一層の謎を掻き立てますね。
「あれ?右奥のモノって」
『やはり、コイツは......』
写真で見たものと同じ遺物────青い宝球。
神秘的な雰囲気を漂わせ、僅かな光で蒼く輝きます。ですが、神秘的であるという以上には分からないですね。
『ナビィ、これは何なのでしょう?』
『いや、私達には関係のない物だ』
答えないということは、本当に必要が無い話ということなのでしょう。
深く聞く気もありませんし、回収が任務です。
手に持っている
重要なものですが、ポケットぐらいしか隠す場所無いですね。
「では、頃合いを見て基地から抜け出しますか」
折角もう一日休みがありますし、基地を満喫してからでも遅くないですね。
忍び込む配送の荷物の吟味も必要ですし、ゆっくりと考えますか。
「遺物......見つかりましたね」
『運がいいと、喜ばないのか?』
「
何が言いたいのでしょうか、私は。
これではまるで────
爆/発
衝撃は足元を揺らし、倉庫のモノはガタつきます。
[
[
「簡単には終わってくれないようですね」
『帰るまでが、何とやらだ』
「遠足気分ではないんですが」
私は、一歩を踏みしめる。
◇◆◇
『で、どうするつもりだ』
「基地中央にでも逃げ込みますか」
外は戦闘していることでしょう。
故に、混乱に乗じて外に逃げるのはリスクが高いです。
なら、内部に避難が丸いはずです。
(中央に
「ナビィ、現在地は?」
『中央部なら、壁向こうだぞ』
つまり、右の通路を通った先ってことですか。
距離は、大したものでは有りません。急げば数分でしょう。
『警戒を怠るなよ。先の爆発、ゴブリンメイジがいるぞ』
「実感が湧かないんですが」
『合ったら即死だ』
「分かりやすくて結構です」
中心部に急ぎます、が、
「これは」
『金属の壁だな。邪魔なものを』
道は、中央までの道はありませんでした。壁、目の前あるのは、金属の壁だけです。触るとビクともせず、通り抜ける隙間もありません。
(来たときに道はあったので、隔壁でも降りたのでしょうか?)
『どうする、ぶち破るか?』
「いえ、外に出ましょう」
内部にいても聞こえる、爆発、銃声、爆発。
外が激戦の中、隔壁は破れません。
戦闘をしているということは、どこかが
(大方、逆側の倉庫内部でしょうか)
外部から入れそうなところは、倉庫以外思いつきませんね。
「感知を頼みます、ナビィ」
『任せろ。だが頼りすぎるなよ』
通路を見渡せば、壊れたランプが点滅する【非常口】
力任せに非常用ドアを開け―――――
「これは......」
『
赤一色
自然と無機質な基地は何処に行き。ペンキをぶちまけたような風景────炎の海という奴ですね。爆発音に乗って来るのは、獣のうめき声。
未だ日は昇らずとも、周囲は明るいのが......唯一ですか。
「笑えませんね」
『ここで笑えれば一人前だぞ』
「気遣いは結構ですよ、ナビィ」
震える手を握りしめ、隠密を始めます。
目指すは、中央への入り口です。
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