第2話 今日は下着姿の彼女と一緒に…

 放課後。鈴木大和すずき/やまとは月渚と下校することになっていた。


 人生で初めての彼女であり、しかも、学園の中でもかなりの美少女である。


 そんな彼女と放課後を共に出来るのだ。


 色々な妄想が膨らんでくるというもの。


 教室にいる大和は、席に座ったまま帰宅準備を整えていた。


 午前の授業終わりの体育館倉庫。

 そこで水野月渚みずの/るなの下着を見てしまい、その流れで誘われたわけだが、結果としては良かったと思う。


 大和の方から彼女に対し、告白できる勇気も普通に遊びに誘えるほどの度胸もないのだ。


 今は、嬉しさが勝っていた。




「大和君、そろそろ帰ろ」

「そ、そうだね」


 月渚が、大和のいる席へとやってくる。

 大和は席から立ち上がり、頷いた。


 教室内では数人の男子生徒らが、二人の方をチラッと見てくる。


 大和は普段から平凡な生活を送っており、なぜ、月渚と関わっているんだという不審感漂う視線を彼らから向けられていたのだ。


「じゃ、じゃあ、行こうか」


 大和は通学用のリュックを背負い、彼らとは視線を合わせることなく、月渚と共に教室を後にするのだった。






「ここが私の家なの」

「へ、へえ、そうなんだ」


 月渚の家は、学校からバスで二〇分ほど先のところにある。

 先ほどの下車したバス停から五分ほど歩いて、今、彼女の家の前に到着していた。


 月渚の家は一般的な雰囲気があり、普通よりも豪邸的な面影を感じられる。


「遠慮せずに入って」

「お、お邪魔します」


 大和は彼女から誘われ、開けられた扉から玄関に入る。


 見たところ、想定した通りに内装も豪華な仕様で、室内からはいい匂いを感じられた。


「今は他に誰もいないんだよね」


 月渚は大和の耳元で囁くように言った。


「そ、そうなの?」


 意味深なセリフに、ドキッとしてしまう。


「うん。両親も今日は遅くなるみたいだし。それとね、私の部屋は二階の方だから案内するね」


 大和は玄関先で靴を脱ぎ、導かれるままに階段を上って彼女の部屋に足を踏み入れることになった。


 室内は女の子らしく、ピンクと白色のデザインを模したグッズやカーテンが目立つ。

 ベッドの上にはぬいぐるみが置いてあり、微笑ましく思えた。


「お菓子とかもあるけど、何がいいかな? ポテチとかになるけど」

「そこまで気を使って貰わなくてもいいよ。貰えるなら欲しいけど」

「じゃあ、ポテチを持ってくるから。確か、うすしお味があったはずだし。それと飲み物はどうする? 炭酸でもいい?」

「う、うん、それでいいよ」

「ちょっと待ってて。すぐに取ってくるから」


 月渚は軽くウインクをしてから、部屋を後にする。


「それと、あまり下着は見ないでね」


 階段の方に向かったと思いきや、彼女は部屋の扉からひょっこりと顔を出す。


「そこのタンスに入ってるんだけど、勝手に見ないでねってこと」


 月渚はそう言って、部屋から立ち去って行ったのだ。




 流石に、それは勝手に見ないけど……俺、信用されてないのかな。


 月渚から下着のありどころを教えられ、逆にその場所が気になってしょうがなかった。


 体育館倉庫で見た、月渚の肌に身につけているブラジャーを思い出し、大和は彼女が普段から使っているタンスばかりが視界に入ってしまう。


 こ、ここは我慢しないと……。


 大和は冷静を保とうと必死だった。




 でも、やっぱ、気になるんだよな。


 今、大和は彼女の部屋の床に座っている。


 そんな中、彼女のタンスばかりがチラチラと気になっていた。


 部屋に月渚はいない。


 バレなければという悪い感情がチラッと脳裏をよぎる。


 でも、ダメなんだって。


 気分を紛らわすために、首を横に振った。


 色々な葛藤が入り混じっている中。


「もしや、気になってた?」

「え⁉」


 扉から彼女がパッと現れる。


 急な展開に、大和は心臓が止まりそうになっていた。


「も、もう戻って来たの⁉」

「そうだよ。疚しいこと考えてた?」


 月渚はニヤニヤしていた。


「まあ、これ。持ってきたよ」


 月渚はトレーの上に開封済みのポテチと、炭酸飲料が入ったコップを置き、持ってきていたのだ。


 彼女はトレーの上からそれらを取り、大和の目の前にある白色の茶舞台に置いていた。


「というか、見るためにここまで来たわけでしょ?」


 そう言いながら、彼女は大和の隣に座ってくる。

 そして、肩と肩をくっつけてきたのだ。


 距離が近いんだが……。


 心拍数が上がってきていた。


「ねえ、何かしない?」


 月渚から誘惑されるかのように、耳元で囁かれた。


 自身の感情が整わないタイミングで、右頬にキスされたのだ。


 え⁉


「ど、どうして、そ、そんなことを⁉」

「二人っきりになったら、やるんじゃないの?」

「そ、そうかもしれないけど……急にそんなことをされても……」


 まだ、頬にキスの感触が残っていた。


 女の子から直接キスされると、動揺を隠しきれなくなる。


「で、でも、こういうのは、好きな人とやった方が」


 元々は下着を見るという名目でここにいる。

 それ以上のことが出来るとは想定していなかった。


「だって、好きだったから」

「好きだった……?」


 意外と両想いだったらしい。


「以前さ、私の事、助けてくれたじゃん」


 月渚から問われ、何のことかと思う。


「私がバスで痴漢にあった時、助けてくれたじゃん」


 彼女の言葉を聞いて、ハッと思い出す。


 確かに、昔、そんなことがあった。


「あの時からね。君には関心を持ってたんだけど。でも、前はクラスも違ったし、話す機会がなかったじゃん。だから、あの頃から時間が経ってしまったけど」


 大和も一応、バスで通学する日もあり。その日、たまたま月渚と一緒だったのだ。


「私。もう少し君のことが知りたいの。だから、今日、一緒の日直になって嬉しかったし。それと、これ以上の事をしてみたいなって」


 月渚は頬を紅潮させ、恥じらいを持った態度で、大和の事を上目遣いで見つめてきていた。


「ど、どうかな?」


 月渚は勇気を持って話しかけてきているのだ。

 彼女だけに恥ずかしい思いはさせたくないと感じていた。


「い、いいよ。俺も」

「え? 本当に?」


 月渚は、恥ずかしがっていた表情からパッと明るい顔を見せ、大和の様子を伺ってくる。


「俺も好きだったから。俺、バスで水野さんを助けた後、上手く話せなくて逃げてしまったというか。本当は話したかったんだけど」

「え、両想い的な?」

「そうかもね」


 大和は照れ臭そうに視線を逸らして言う。


「じゃあ、今日から一緒に付き合うってことでいいよね」


 月渚からウインクをされた。


 その後で、彼女は上の制服を脱ぎ、ピンク色のブラジャー姿になったのだ。


 そんな魅力的な容姿を目の前に、大和は唾を呑み。心の中で深呼吸をした後――


 今後は大和の方から彼女にキスを交わすのだった。

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学園で一番可愛くて優等生な美少女が、俺にだけ下着を見せてくれる 譲羽唯月 @UitukiSiranui

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