第5話 小学校二年生
小学校二年生になり、わたしはまたしてもあの恫喝した女子と同じクラスになってしまっていた。あの女子生徒は、あの後もなにかにつけて、私のことをいじめてきた。取り巻きを巻き込んだような大掛かりなものではなく、大体がすれ違いざまに、悪口を言われると言ったようなものだった。それでもわたしはクラス替えで、あの女子生徒と同じクラスになりませんようにと祈ったのだが、願いは叶わなかった。
席替えで、わたしは教室の前方中央の席になった。小学校では班と言って、近い席通しが五席ほど集めて、それを一つのグループとして、なにかを行うという仕組みがあった。班のメンバーを見てわたしはとても嫌な予感がした。まず、わたしのことをなにかにつけいじめてくる女子が入っているし、わたしともう一人の女の子を覗いて、みなその取り巻きである。班を組んでいるとき、案の定わたしの左隣りに座るあの女子生徒が、前に座っている、いじめっ子ではない女の子に向かって
「りなってきもいやろ」と話しかけた。わたしが、真隣に、本人がいるにも関わらず、そんなことを言う、ゴリラ女子(いじめてくる女子生徒のことをこれからこう呼びます)の神経を本当に疑う。そして、わたしは話しかけられた女の子に同情していた。別に、同意してくれてもいいよ、と心の中で半ば諦めていた。
でもその女の子は意外なことを言った。
「あなたたちにいじめられたのに、なんでわたしがあなたたちと同じことをしなければいけないんですか?」
至極全うな意見だと思った。そして、わたしはいじめっ子グループたちがわたしだけではなく色んな人をいじめていて、そして、学年が上がってもそれを続けているという事実を知って驚いた。しかし、内心私はこうも思った。
そんなこといっちゃだめ。次いじめられるのはあなただよ。と
だけど、わたしはフォローの言葉を出さなかった。出せば、いじめられると思ったからだ。結果、その子はその後の小学校生活をいじめられて過ごすことになった。
わたしは、またもや、自己保身でだれかを傷つけることになった。
放課後、いじめグループの男子に、「守ってくれたのに、かばわなくていいのか?」と聞かれた。お前に言われたくないわと心底思ったし、お前が言えることじゃねぇだろと思った。だったらお前がかばってやれよ。ゴリラが喋って、女の子が返す前に、ゴリラを否定しろよ。友達なんだろ。いけないことはいけないって言ってやれよ。お前達は加害者のくせに、いつも被害者に責任を擦り付ける。本当に図々しいし、頭のおかしいいじめっこグループのメンバーたちにイライラしたのを覚えている。
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