第3話 次の日
次の日、またいじめられるのかなと学校に行くと、クラスの空気が変わっていた。そして、取り巻きの一人に、「頭いいんだね」と言われ、友好的な態度を示された。どうやら、わたしはクラスで頭の良い生徒として認識され、いじめの対象から外れたようだった。その代わり、いじめっ子グループでわたしに恫喝した女子がなじられていた。わたしは難を逃れたことにひとまずほっとした。その日は、一度も話しかけられたことのない一軍女子に話しかけられたり、放課後、一緒に帰ろうと、家の方向が近い子に声を掛けられたりした。クラスメイト達の虫の良すぎる手のひら返しにわたしは呆れたが、とにかくいじめられなくなっただけ、ましというべきだった。
放課後、家の近くまで帰ってきたとき、一緒に帰っていた子が、容姿端麗な子だったので、「かわいくていいなあ」と言うと、でも「りなちゃんは頭いいじゃん」と言われた。なぜ私が頭がいいと思われているのか、きっと言い返したときに、それを根拠に、言い返したからだろう。でも実際のわたしは頭がとても悪いのだ。ぶすでばかで何のとりえもない、それが本当のわたしだ。でも、そんなことを言ってしまえば、せっかく友達になってくれたこの子は友達じゃなくなるのかもしれない。クラスでまたいじめられるのかもしれない。わたしは本当のことが言えなかった。
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