第17話 消耗

もしかしたら、追加公演が始まれば、Cさんは落ち着くかもしれないと思った。

お客さんからの反応や、好きなことをする楽しさで、モヤモヤしたものを発散することが出来るかもしれない。


公演が始まるまで、Cさんとのセックスの回数は増えていった。

そして、公演が始まり、会う日が減ったが、セックスの回数は減らなかった。

昔のように、夜会いに来て朝方帰ったり、空港の近くのホテルに会いに行ったりした。

時々、快楽ではないセックスもあった。

私は、自分を守るために、ピルを飲み始め、Cさんに会う前にローションを注入した。


少しずつ、私は苦痛を感じていた。


でも、あと一年、あと10ヶ月、あと半年、と我慢を重ねていた。


Cさんのことが好きだったから。

受け止めたかった。


公演の話を、Cさんはしなかった。

公演以外の話も、Cさんは少しずつしなくなっていった。

会えばセックスしていた。

時々昔のCさんに戻ることがあったが、険しい顔をしていることが増えていった。


Cさんはクタクタになるまでセックスをして、泥のように眠った。

Cさんが寝ている間、私はシャワーを浴びながら、泣いたりもした。


Cさんに「愛してる?」と聞かれると、

私は「愛してるよ」と答えた。

求められるままに全て応えた。

そして私は消耗していった。


ある日、私の性器に痛みが走った。

激しい行為で、性器の端に裂傷が入った。

その日の性交を最後まで我慢して、私は病院へ行った。

診察してくれた女医さんに、

「しばらく性交渉は控えてください。相手の方に無理強いされたりしないように、きちんとやり方を話し合ってくださいね」

と淡々と注意を受けた。

看護師の方から、薬の使用方法を教えて貰い、同様の注意を再度受けた。

心が折れそうだった。


次のセックスは最悪だった。

早く終わって早く終わって、と、ずっと祈りながら我慢した。

「愛してる?」

「アイシテルヨ」


もう少しだったのに。

私の心は折れた。

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