第7話 進展

「結構電話で話すようになってから、

一度、ふたりで会おう、ってことになったときがあった。お互い近くに居ることが分かって。

私が居る場所に行くから、30分位待てますか、って聞かれた。それで待ってたんだけど、しばらくしてまた連絡が来て、

少し電車で移動して、指定の駅に来て貰えないか、って。行きつけのお店があるから、って」

「突然、ふたりで会う、ってことの意味が分かったというか、危ないのかも、って急に思った。

もう結構気持ち傾いてて、好きなんだけど、

すごく冷静になって、会うのが怖くなった。

怒られるかも、って思いながら、

やっぱりやめておきます、今日はもう遅いので、ってメールした。Cさんは怒らなかった。

そうか、結構遅い時間だった、気付かなくてごめん、って返事だった。

その頃はもう、結構電話でも話してて、ふたりで会うのも不自然な流れじゃなかった。

気軽に会話出来てた。気楽でいられたし、楽しかった。Cさんの対応に、少しずつ怖さがなくなっていった」

「それから、いつも事務所に来てた、Cさんの関係者の人も一緒に、事務所の近くでご飯でも、って話が出た。ふたりが仕事で近くに来るから、時間合わせてご飯でも、って。

それならいいかな、ってご飯に行った」


ここからCの関係者の方を、Dとします。


「事務所の近くの個室で会った。美味しい焼き鳥屋さんだった」(ハツが美味しかったよ、今度一緒に行こう、とAが眼帯の顔をふと上げて私に言った)

「Cさんは、初めて事務所で会ったときみたいに、眼鏡やマスクとかしてた。

Dさんは、会ってすぐ謝ってきた。なんか、すみません、Cに振り回されていませんか?、って。

今のところは大丈夫です、って答えたら、CさんもDさんも苦笑いしてた」

「Dさんは全然お酒を飲まなくて、飲まないのか聞いたら、車で来てる、って言ってた。

Dさんは、自分を気にせず飲んで、って言うから、私は飲めない、って話をしたら、

Cさんが驚いて、酔っ払って電話してきたのに、って言ってた。

飲めないから、飲んでやらかして電話したんです、って言ったら、ふたりとも笑ってた。

少しだけ勧められたけど、本当に弱いし、お酒好きじゃないからって言ったら、そこから、全然勧めなくなった。それからずっと。」

「帰りはDさんが車で送ってくれた。

結構飲んだCさんが、ドライブだ、ドライブだってはしゃいでて、助手席に乗り込んでた。私は後ろに乗って、三人でドライブしながら、家の近くまで送って貰った」

「Dさんには彼女がいて、プロポーズの言葉を三人で考えたり、なんで結婚に踏み切らないのか、私とCさんで、なんでなんで、ってずっと尋問したりして。すごく楽しかった」


「Cさんとは、ふたりで会うようになった。

ある日、酔ったCさんが、

もっと一緒にいたいから、って言って、その日泊まる予定のホテルに誘われた。

私も、もっと一緒にいたかった。

それで、ついて行った。

危機感はなかった。

不思議と、セックスの心配もしてなかった」

「でも、ホテルの部屋でふたりになったら、

Cさんにしてもいいか、って聞かれた。

するなら帰る、って答えた。

そしたら、じゃあ、しなくていいから抱きしめさせて、って言われた。

それ位ならいいか、って思った。

本当に不思議と、無理矢理とか、そういう心配は全然なかった。

その頃には、そういう人じゃない、って思ってた」

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