第4話 告白
ここからは、友人の告白を要約します。
ここから分かりやすくするために、
友人をA、
私をB、と表記します。
ある日、Aの働く事務所に依頼がありました。
ある男性芸能人のDVによる案件でした。
この芸能人をCとします。
Cは元々劇団員で、現在は脚本家、俳優や執筆も行う、多才で有名な男性でした。
Cは恋人に対して長年暴力がありました。
今回ふたりが破局するにあたり、恋人側から慰謝料の申し出がありました。
法外な金額だったようでした。
C側にも弁護士を付けて話し合うことになり、元々Cの事務所の担当弁護士であった所長に依頼が来ました。
話し合い、やりとりの場には、ずっとCの事務所の関係者が来ていたし、所長が相手先を訪ねることもありました。
C本人が出てくることはありませんでした。
友人は事務所の来客対応もしていたので、Cの関係者とも挨拶をし、お茶を出し、挨拶程度に、顔を合わせてやりとりをしていました。
Aは、芸能人であるCの案件であること、DV案件であること、何も知らなかったらしい。
一度だけ、C本人が事務所にやって来ました。
事務所の近くで用事があり、挨拶がてら、所長と顔を合わせて話をしに来たらしい。
帽子を被り、眼鏡とマスクを付けて、Cの関係者に後ろに付いて、ひっそりと一緒に来たらしい。
Aは他の来客と同じように、いつものように笑顔で迎え、応接室に通し、飲み物の好みを聞き、お茶を出しました。
それだけの対応でした。
いつの間にかCの訪問は終わり、Aは応接室を片付け、お茶を下げに行きました。
雑談もせず、見送りもせず。
それが、約一年前のこと。
そして、Aは、
現在、Cからの暴力を受けていることを、私に告白しました。
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