第12話 服よりも生足

 毎日が充実していると、日が過ぎるのが早い。

 楓乃とデートの話をしたり、友人に彼女ができたと自慢をしたり。

 まぁ、案の定『やっぱ楓乃じゃねーか』とツッコまれてはしまったが。


「ほら理仁行くよ!」


 そして今日は待ちに待ったデート当日。

 気合を入れて、少し遠いし高かったが、絶叫系のアトラクションが有名のテーマパークへと来ていた。


 初デート。お互い新鮮な気持ちで向かってはいたものの。


「……これじゃいつもと変わらないな」


 入場ゲートで、はしゃぐ楓乃を見て俺は苦笑する。


「んね、なーんも変わんないよね私たち」

「まぁそれがいいのかもしれないよな」

「なんか実家のような安心感だよ。理仁と居ると」

「もっといい言い方をしてくれ」


 行きに乗った特急では、2人してニンニクが入った焼肉弁当を食べるし、ここに来るまでのバスでも、ご当地アイスを買って食べて、山道で酔った楓乃は到着した瞬間にトイレに駆け込んで吐いていた。


 その光景を見て引かない彼氏がいるとするなら、幼馴染か神様のように寛大な心を持っている人しかいないだろう。


 あれだけ意気込んでおきながら、今のところこれがデートとは到底思えない。

 何も変化がない……と思っていたけど、


「今日の服、いつもより気合入ってるな」


 ボーダー色のダボっとしたロングスリーブに、黒のミニスカート、伊逹だが丸眼鏡までしている。


 普段は大人っぽい印象をしている楓乃が、今日は可愛げがある女子に仕上がっている。

 男子ウケ、というか俺が好きな服の系統にドンピシャだ。


「でしょ? 可愛い?」


 と、一周くるりと全身を見せてくる。


「新鮮で可愛いな。丸眼鏡がめっちゃ似合ってる」

「んっ……そんなまじまじと見られると恥ずかしいんだけど……」


 両手で赤くなった頬を隠しながら、小声で呟く。

 可愛いなんて面と向かって言ったことがなかったから、そこまで露骨に反応されるとこちらまで恥ずかしくなってくる。


「ま、まぁ? 今日はデートだからね! バッチリ気合入れてきました!」


 咳ばらいをすると、フンスと鼻を鳴らす楓乃。


「ちゃんと可愛いよ。生足出してるのが点数高い」

「え、服よりもそこ?」

「生足、エロい」

「一番いいのはJKの生足なのかい!」


 ミニスカートなんて履いてるところを見たことがないので新鮮だ。そして何よりエロい。

 全身を見ても一番輝いて見えるのは、はやり足だ。


 絹のように白くモチっとした太もも、男で嫌いな人はいないはずだ。

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