第11話 絶叫デート

 楓乃と付き合ってから丸2日経とうとしていた最中、


「デート行かない⁉」

「……急だな」


 そんな提案を楓乃からされた。


「またデートだなんて改まってお前らしくない」


 昨日だって楓乃の奢りで回転寿司に行ったばかりだ。


 付き合ってから一緒にどこかへと行ったので、これもれっきとしたデートだと思うんだが、


「昨日のはちゃんとしたデートじゃないの! あんなのいつもと変わらないじゃん!」


 どうやら楓乃は、デートという認識を持ってどこかに俺と出かけたいらしい。

 そこにこだわる必要なんてあるのかと疑問に思う俺であったが、乙女はしっかりとそうゆうことをしたいらしい。


「んじゃ、どこ行きたいんだよ」


 俺の膝元で幸せそうな顔をする楓乃に、俺は聞く。


「どこと言われたら、すぐに出てくるものじゃないけど、うーん……ザ・デートって場所に行きたいよね!」

「難しいな」


 付き合いたてのカップルが最初にデートで行く場所か。

 彼女いない歴=年齢だった俺には想像も付かない話だ。


 漫画やアニメで学んだデートの定番といえば、水族館や遊園地。映画やショッピング。

 映画が一番無難とはいえるが、会話が少ない分、気まずくなったりするということを聞いたことがある。


 俺たちに限ってそれはないと思うが避けておこう。となると、2人が行って楽しめる場所……


「遊園地とかにする? ほら、お互い絶叫系好きだし」


 幼少期から大型連休がある度に、遊園地に行ってはジェットコースターなどの大人でも乗りたくないような絶叫を乗っていた。

 これなら、間違いなくデートにはもってこい。


「なにそれ最高じゃん、うん。最高すぎる」


 顔を合わせると、キリっとした声をしながら頷く楓乃。


「お前、俺としか遊園地楽しめないしな」

「んなっ! ……そうゆうこと言うな、嫌な思い出が蘇る……」

「俺も絶叫乗れない立場だったら、地獄を見てたよ多分」


 中学を卒業した記念で、人気テーマパークに友人6人で行ったことがある。

 その時、平常運転の楓乃はみんなの意見を聞かずに絶叫系を連れ回し、体調を崩す人が続出。


 俺と楓乃以外全員トイレに籠っていた。

 そのことから、あの事件は伝説となっている。


「でも、今度行くときは遠慮なんていらないからな。俺から絶叫に飛び込んでやる」


 ドンと胸を張る俺に、楓乃はパァっとした笑顔を浮かべながら、


「うん!」


 なんとも嬉しそうな笑顔を浮かべるのであった。




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