第17話:亜人、襲来

洞窟内では武器のぶつかる音と、人間と亜人の雄叫びが鳴り響いた。僕達は若干押され気味だが問題はない。この乱戦でうまく立ち回れてる。

一対一の状況だ。僕ならこの程度なんて事もない。

「『千連突鬼タウザンドインパクト』」


相手を滅多刺しにする、が流石に倒れてくれないか!それはそうだ、あの時とは違ってこいつらは鍛え抜かれた筋肉だ!なら…

「火炎魔術『ニトロ』と槍術『一天突鬼ポイントストライク』の合わせ技… 魔槍術『火砲ニトロ一天突鬼ポイントストライク』ッ!!」


「グォッ!」


見事に心臓を一突きだ。だが敵は待ってくれない、倒しても倒してもやってくる。たとえ大勢が来ても、返り討ちにしてやる。

「来い!」


ふぅ。一通り倒し終えたか?フォルネ達が気になる、奴だけは何としても死なせちゃならない。今どこに…

「よぉ、いいツラしてんなぁ?」


!!気づかなかった、このデカい図体でどうやって音も無しに近づいてきやがった!

「ガハハハ!驚け驚けェ!所詮は人間ッ、敵うわけがねぇ!」


「言ってくれんじゃねぇか… 人間は人間でも俺は一味違うぜ?」


「なら文字通り味にしてやるかぁ!」


俺は奴に目掛けて切りかかった、当たったのは右腕だけか…

「『ゲイボルグ:スティングレイ』」


十分過ぎる。

「ウ、ォオオ… 毒…かぁ!」


「この毒は少し特殊でな、ゲイボルグをへし折るか、俺の大海の呪いを解く事でしか解除できない。せいぜい苦しんで死ね」


「な、なんの…これしきィィィィ!!」


「!!即死系ではないといえ、耐え抜くのか…!」


「オデは…頑丈だから、なぁ!」


「…よぉし気に入った、戦闘続行だ!」


クソッ!一人一人はそんなに脅威ではないが…!数がいかんせん多い!どうすれば…

!!後ろか!

「春三風『春疾風はるはやて』ッ!」


浅い!囲まれたか!予備動作の時間がないなら…

「『暴風』!」


風を収集する魔力をわざと暴走させ暴風を発生させる!なんとか倒れてくれた所を…!

「春五風『貝寄せ《かいよせ》』、散って落ちろぉ!」


春五風『貝寄せ《かいよせ》』は細かい風を無数に形成し、地面に落ちる攻撃技。射程距離が短い代わりに威力は絶大。これでワタシの周りの敵は殲滅し切っ…

「うぉおりゃぁ!」


「!!ぐあぁ!」


まだ生きていたのか!?くっそ、体の切り傷が痛すぎて動けない…!でも動けるだけでコイツらも致命傷なはず… ここでケリをつける!

「うぅしろガラ空きだぞぉ」


後ろ!?グッ!背中をやられた… 何であれで生きてるんだ!?コイツら…いやコイツらだけじゃない!!倒しきれなかったのか。

「くっそぉ、いてぇじゃねぇかよ」


「君たち…いくらなんでも硬すぎやしないか…?」


春奥義なら一切りで倒せるだろうが… 数が数だ。ワタシにはもうできる事はないのか… あぁ、ワタシの人生、未練しかない… 兄上にまた迷惑をかけてしまう…

「おうおう、まだ死んでくれるなよぉ?もう少し身体解体させてくれよ、な!!」


あぁダメだ、動けない。振り下ろされる斧を見ることしかできない。無念…

「『レールガン』!」


高い音と眩い光線が放たれ敵が殲滅された。右目が青で左目が黒の男が走ってきた。

「君ッ!大丈夫かい?」


「は、はい、なんと…ぐふっ!」


「じっとしてて!今だれか連れてくる!」


「いえ待ってください!!囲まれて… ゲホッゲホッ!」


「ええい!もう出し惜しみはしないぞ!」


そういうと右目に右手を当てた。何が起きているか分からない。手を離したと思ったら彼の右目は色が変わっていた、その瞳は黄色く輝いてた。

「『バリア』!」


半透明の黄色いバリアが生成され相手の攻撃を防いだ。彼は再度右目の色を変えた。

「『レールガン』ッ!」


青い光のビームはどうやら右目から出てるらしい。あっという間に敵を殲滅した。

「これでひとまず安心だね」


「あの、お名前は?」


「このボクを知らないとは君はよっぽどの世間知らずだな。ボクは魔道騎士マッカーティ・アガサ・グリフィン」


「アガサ…?まさか!ぐふっ」


「ちょいちょい落ち着いてよ、一旦防衛班んとこに連れていくよ」


アガサ!!もしかして彼が噂の!?まだ確証はないがもしそうであった場合は… 覚悟しておかねば。


アガサはマズったか?流石にあの大陸の人間がいるとは思わなかったな。血でよく見えなかったが確かに彼は東洋系の顔つきだ、ボクの落ち度だなこりゃ。

「待って…ください」


「…どした?」


「ワタシは自分で歩ける… 彼女を… ミランダくんを助けてください…」


「ミランダ?惚れた女の名前か?」


「友…人です」


「そうかい… あい分かった!女の子ならボクがパパッと助けちゃってついでに惚れさせてこよう!」


「次そんな冗談言ったら首刎ねますよ」


「…ははは… 肝に銘じておくよ」


死守隊、怪我人,医療班,物資などを文字通り死守する隊の事。彼らが守る安全地帯に置いてかれマッカーティさんは多分ミランダさんを探しに行った。ワタシはここで少し休憩しよう…


「うぅらぁぁ!どうした熊野郎!もっと立ち向かって来いやぁ!」


「グハハハハ!楽しいぞ、人間んんん!!」


コイツは頑丈ってだけじゃねぇな!なんだ、この違和感は!?もうじき毒で死ぬはずだろ!?クッソ、不本意だが…

「こちとら用事があるんでな… これでキメる!」


「!?何言ってんだ!もっと、もっともっともっともっともっと… 戦おうぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「ソウル・アーツ:40%ッ!内側から串刺せ、『ゲイボルグ:パッファフィッシュ』!」


「うぐぅぉおお!」


ゲイボルグ:パッファフィッシュは刺さった槍先から無数の棘が四方八方に伸び、文字通り内側から串刺しにする技。

「…流石にこれで死んだか。いッ…あー、少し解放しすぎた… 保ってくれよ俺の体」

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