第8話:フォルネウス
「ええと、じゃあ整理すると、フォルネウスは悪魔でずっと僕の魂に住んでいたって事でオーケー?」
「だからそう言っておろうが」
色々と困惑している。どうして悪魔が僕の魂に?これって普通起きうる事?なんで今のタイミングで現界してるの?聞きたいことが山積みだ。
「色々と聞きたいだろうが、実はわちも全部理解していると言うわけではない」
「そうなの?」
「特になんでわちが今現界したのか分からない。悪魔は現界する事はあれど、それは悪魔式召喚のみじゃ。第一、わちはフォルネの身体に宿っていた、だから今現界したのはおかしい」
「じゃあなんで僕の魂に住んでたの?」
「それはお主… あれなんでだっけ?」
「全然分かんないじゃん!」
「うるさいうるさぁい!お主も覚えておらぬ事の二つや三つあろうが!」
フォルネウスは結局何も覚えていなかった。現界した目的も、召喚者も、僕の魂に住んでいた理由も。
「まぁいつか分かるはずじゃ。このタイミングでの現界は明らかに第三者からの介入、もうすぐ黒幕から何らかの合図があるはずじゃ」
そんなできた話があるか?
「へぇー、案外鋭いじゃん」
知らない声、振り返るとそこには黒いローブを纏った男がいた。顔はマスクで覆われていて認識できない。
「なにやつ!」
「おっと」
ベッドから飛び立ったフォルネウスは真っ先にその男に向かって行った。一瞬の間に彼女の右腕は異形に変わった、長い爪で見るからに固そうだ。その手で攻撃したフォルネウスだが謎の男はその場を動かず冷静にフォルネウスの右手を掴んだ。
「起きたばっかでまだ攻撃の詰めが甘いな、
「何者じゃ、貴様」
「俺の事も認識できないぐらいに寝ぼけてるのか?まぁすぐ思い出させてあげるさ」
その男は空いてた手でフォルネウスの首を締めた。僕も遅れを取ってはいけない、瞬時に
「彼女から手を離せ」
「…これは俺ら兄弟間の問題だ、口出しするな人間」
表情は見えない、のにその言葉だけで体が竦む。本能的にこいつとは戦ってはいけないと察せる。だからなんだ?
「だからなんだ。その子は僕の友人だ」
「…友人?笑わせる!こやつが人間の友人を持つとはとても…!いや…」
「ふん、お前のせいで手間が増えた。こいつは一旦持って帰る。もし止めようものなら殺す」
言葉だけで僕を圧倒する。士気が一気に下がっていく。だからって、目の前で泣いてる子を見捨てるわけにはいかない!
「その子を離せ!」
その男に向かって行ったのは覚えている。が次の瞬間僕は部屋の外に投げ出されていた。
「虫けら如きの人間風情が…!」
!!受け身だ!!咄嗟に受け身を立ったのが功をなした。瞬時に臨戦体制に入った。
「正直俺にはお前と戦う理由なんてない。が、俺も舐められたままじゃ気がすまねぇ」
「…やっとその気なったね…」
「侮るな、せいぜい俺に殺される事を感謝しながら死んでいけ」
いやヤバい!!一気に空気が変わった…!さっきまでの雰囲気から殺気がダダ漏れになった。周りの一般人は皆四方八方に逃げた。
「おい!そこの者!今すぐその子を離して投降せよ!」
「警備隊か… お前とは遊んでる暇はねぇんだよ。『グラウンドクラッシュ』」
生々しい音で警備兵が地面から現れた口によって潰された。鎧すらも布同様の薄さになる威力。
おいおいおいおい!たかが『グランドクラッシュ』であんな速度出るか!?それ以前に威力が段違いすぎる!!普通潰れないだろ!!
「一応名前だけ訊いても…?」
「72柱が8番、バルバトスだ。名前まで開示してやったんだ、簡単に死んでくれるなよ」
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