第7話:わちは!
「ええと、実は僕もこの状況に困惑していましてね…」
「なに言っとるんじゃ!わちはおぬしじゃ!思い出せぇフォルネ!」
ミランダとアラヒサ君から感じる冷たい目線、目を合わせるのが怖い。っていうか本当に誰この子、僕知らない!
「フォルネ君、私はね、君がそんな人だとは思わなかった」
「ワタシも同感だ、ましては幼女を連れ込むなど…」
「ま、待って!僕にも弁明の余地を…!」
どう足掻いても悪い方向にしか転びそうにない状況、どうやって説明しよう。ってか何を説明するんだ!?
「しょうがないのぉ、わちが説明しよう」
そういうと小さな体を浮かせ僕の勉強机に乗った。
「わちはフォルネウス。フォルネの魂の奥深くに眠っていたのじゃがどういうわけか今は血肉を持って現界しておる、ちょうど今朝ぐらいかの?魂から引き離されて気づいたらベッドの上じゃった」
「いまいち理解できないけど…」
「わちも分からん!」
何このガキ、凄い上から目線。まぁしのごの言ってる暇はないから仕方ない、ここは受け流すしかないな…
「待って!フォルネウス…ちゃん?まずちゃんとしたお洋服を着ないと!」
「まぁ幸い今日は午前授業だ、午後に洋服店に行こう」
確かに裸のまま部屋にいるわけにはいかないからな。とりあえず寮母さんには従姉妹が遊びに来たということにしておこう。
「なに、服ぐらい自分で生成できるわ」
するとフォルネウスの身体が光に包まれものの数秒で衣服ができた。
「どーじゃ!」
「おお、フォルネウスちゃん凄い!」
「そうじゃろそうじゃろ!」
見た感じ僕への疑いは晴れたっぽい?
「あ、時間!ミランダ君、フォルネ君!」
「あ!やっばい」
急いで支度をし寮を飛び出した。もちろんフォルネウスには留守番を命じた、来られると色々と大変そうなので。
「おいお前ら… 俺の授業を10分も遅刻とはいい度胸しているな…」
「あ… クーフーリンさん… ええと、これには理由が…」
「ほほう… この俺の授業よりも大切な理由があったと…?」
「…すみませんでした!!」
結局僕たち3人は授業後、魔道院の掃除をさせられた。あーあ、この魔導院広すぎだろ!ってかクーフーリンさん鬼畜すぎ!
結局掃除が終わったのは日が地平線を半分超えた時だった。
「おそい!」
帰って早々に罵倒を喰らう。
「昼には帰ると言うとったじゃないかぁー!何がなんでも遅すぎじゃー!」
「ごめんて… ほらこれお詫びの品。近くの売店で買ってきたんだ。お腹空いてると思って」
「なんじゃこのフワッとした物は。なんだか甘い匂いがするのぉ」
「フレンチトーストって言うらしいんだ。パンに蜂蜜とかを染み込ませたもの」
「ふむふむ、どれどれ… うまぁぁい!最高に美味いじゃないか!わちは気に入ったぞ!」
「良かった。買ってきた甲斐があったよ」
なんとかフォルネウスの機嫌は取れたみたいだ…
「まぁ悪魔は腹が減ったりなどはしないのだがな」
「え?」
え?今悪魔って言わなかったか?いやそんなわけ…
「わちは現界しているとはいえ身体は魔力で構成されとる。空気中に魔力がある限りは腹が減ったりはしないんじゃ」
「待って待って、フォルネウスって悪魔なの?」
「ん?言っておらんかったかの?わちは悪魔72柱が一人、フォルネウスじゃ」
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