第6話:大海の呪い
都内の亜人騒ぎから1週間経った。ボルテ社の新聞に載り世の中に広く伝わり、一部魔王復活説が唱えられていた。これを強く否定する形で大魔道騎士長はボルテ社の記事に記載した。
「これは返って肯定しているように見えるぞ…」
新聞を片手で読みながらベッドに寝そべる。ややあって扉をノックする音がした。
「はーい」
開けるとそこにいたのはミランダとアラヒサ君が居た。
「どうしたの?」
「どうしたも何も、ワタシと稽古の約束したではないか」
「あー!もうそんな時間!?ごめんごめん、すぐ行くから先行ってて」
5分で支度し早歩きで寮の裏にある広場に行ったのだが。
「え、なんでクーフーリンさんが居るんですか?」
「丁度そこを通りかかってな、こいつらに来たら面白い話が聞けたので少し付き合ってやろうと」
ええ
「嫌そうな顔すんな」
とりあえず2体2で模擬戦をする事にした。僕とアラヒサ君ペア、クーフーリンさんとミランダのペアだ。
「うし、じゃあ初めだ!」
剣と剣、槍と槍がぶつかった。まずはクーフーリンさんを2人で潰す、そっからミランダと相手する。
アラヒサ君は剣でクーフーリンとの距離を縮め、生まれた隙を僕が…
「なんの!」
途端に劣勢だったはずのクーフーリンさんが形勢逆転した。アラヒサ君の顎を重いっきし槍で下から殴り、ステップで僕の槍を避けたそして掴まれ投げられた。
「言葉よりも顔の方が何考えてんのかわかりやすい、お前らは顔に出過ぎだ」
頭を槍で小突かれた。
「…参りました…」
「全く、通常時の俺にも勝てねぇとはな」
「?どういう意味ですか?」
「大海の呪い、これで俺の基礎スペックは強化されてんだ。これはあの槍を持ってる時だけ付与されるんだ、今は持ってないから俺の通常状態って事だ」
へぇー、そんな便利なものがあるんだ。でも何で呪いなんだ?
「何で呪いか疑問に思ってる顔だな」
「うっ…」
「俺が昔殺した海獣に付けられた身体中を痛めつける呪いだからだ、解放中は常に体を切り裂かれる痛みが襲う」
「そんなに辛いものなら捨ててしまえば良いじゃないですか?」
「無理なんだ、必ず俺の元に帰ってくるし壊してもすぐ直る。じゃあな、俺は行く」
「え、あ、お世話になりました!」
「おう」
そう言って魔道院の方角に歩いて行った。
時間が経ってから僕らは晩飯を食べにいく事にした。街をぶらぶら歩きながら入りたい店を決める。
「おっと、失礼」
道中人にぶつかることも多いぐらい賑やかな街だ。でもさっきは何でか身体がピリッとした。体には外傷はないがさっきぶつかった人が帯電でもしてたんだろうか?
今日はマーブル居酒屋に入った。カウンター席に腰をかけ各々注文した。数時間ほどその店で過ごし寮に戻った。ベッドに入ると眠くなってきた。朝から運動したせいかな?
目が覚めると身体に妙な重みがあった。何だと思って目を開けるとそこには見知らぬ少女がいた。
「あ、やっと起きたー!」
うん多分これは悪い夢だ。どう考えてもツノのような物も生えてるし、裸だし。これは色々とやばいのでは?うん夢だこれは絶対に。
「おーい、フォルネ君。学校の時間だ、起きていないのか?」
「え!あっ!ちょっと待っててねアラヒサ君!!ちょっあ!」
ドアの前にはミランダとアラヒサ君が棒立ちでこの風景を観ている。裸の幼女と若い男が同じベッドにいるなんてただの犯罪だ。
「え?きゃぁぁぁぁ!何その子!?」
「おうおう、朝っぱらから騒がしいのぉ。わちがそんなに珍しいか?」
〜同時刻 ?????にて〜
「どこをほっつき歩いとった、バルバトス」
「いや何、少し妹?弟?どっちでもいいや。兄弟に会いに行ってたんだ」
「なんだ?あれほど近づくなと釘を刺したのにか?」
「別に会話はしてないし、ただ潜在能力を開花させただけさ。アンタは心配性がすぎる、バエル」
「今は重大な時だ、一手間違えるだけで全てが水の泡だ」
「だから俺がアイツを起こしに行ったんだろう?手間が省けたじゃないか」
「お前は理解していない、消えろ」
「へいへい、仰せのままにっと」
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