第4話:戦いの後
「今なんと?」
「だから、僕魔道騎士になります」
「なにがあったらそんなコロコロと意見が変わる」
「なにってまぁ色々と考えた末です。でも僕にも提案があります」
「無茶を言っているのはこっちだ、ある程度なら聞こう」
「まず魔道士コースを受けれない代わりに1日の終わりに魔道士コースの内容を特別に教えてください」
「俺からはなにも言えないが相談してみよう」
「ありがとうございます!」
「何度も言うが無理を言っているのはこっちだからな、それと気になっていたのだがその槍…」
「あ、これですか?これは僕の師匠がくれた物でして、なんでも彼が傭兵時代に使っていたとかなんとか」
「ふふ、そういうことか…」
え?なんで今笑った?
「とりあえずお前ら始末書書いとけよ」
「はい?」
「『はい?』じゃねーよ。魔道院の非戦闘員が戦闘に参加したんだ、タダでは済まされねぇよ。提出は今日までだ」
僕とアラヒサ君は無事1000文字の始末書を書くことが決定した。なんでだよぉ!
〜数時間後 魔道院にて〜
「聞いたよー、優等生君を魔道騎士にスカウトしたって」
「何か用か?ドグマ」
「いやいや僕ちんはただ珍しいなぁって思っただけだよー。あの堅物が一魔道院生をスカウトなんて、昔の君じゃ考えられないねー」
「なんでもいいだろ、俺はあいつに可能性を感じてるだけだ」
「へへー?そーなのー?」
「それより、俺は今から少し遠出をする。上に提示する報告書は任せたぞ」
「えー!なにそれドイヒー!1人だけバカンスだなんて羨ましいぃ!」
「黙れ抱きつくな、はしたない。これも任務の一環だ、それにもう騎士長には許可を貰っている。じゃ頼んだぞ」
「もー、クーちゃんは自分勝手だなー」
〜魔道院生寮 大食堂にて〜
「始末書とはどう書くものなのだ?ワタシには些か理解ができぬ」
「まぁ滅多に書かないもんね、僕も今回が初めてだよ」
「うーむ、それはそれとして飯にしないか?」
「そうだね、もう朝食時だね。寮母さんはいないから… 僕が作ろうかな」
席を立ち台所に向かっていると玄関ドアが豪快に開いた。
「ちょーっと待ったぁぁ!」
「わ!え?ミランダ?どうしたの、こんな時間から」
「いやー私昨日の夜の騒動で避難誘導やらやってたらこんな時間になっちゃって。朝食なら私が作るわよ」
「いやいや悪いよ、お疲れの人に任せるのは」
「いいのいいの、私お料理作るの好きだから」
「じゃあ僕も手伝うよ」
ワタシは考えた。この、ワタシだけ置いてけぼりな状況の理由を。ピカーン!もしやフォルネ君はミランダという女性に恋をしているのか!?(※正解) だとすればワタシにできることはただ一つ、優しく見守る。
〜30分後〜
「できたわよ!簡単な料理だけどどうぞ」
「美味しそうだな」
「ねー、香りがすごくいい」
「なにか忘れているような…」
「早く食べないと授業に間に合わないよ」
「それもそうだな」
魔道院に向かっている途中、僕は思い出した、始末書の存在を。もちろん時間はないしもうすぐで授業も始まる。怒られる準備だけはしておこう…
今日の時間割は歴史と魔学と対人訓練と昨日と変わらない内容だった。歴史と魔学についてはなんとなく過ごして対人訓練の時に声をかけられた。
「よぉ、あんたがフォルネか?」
「え、そうですけど?」
「一つ手合わせを願いたいねぇ」
友達がいないのかな?僕はアラヒサ君とやりたかったけど、この子が可哀想だし。
「いいよ」
「んじゃ行くぜ」
「え」
見えない速度で殴りかかってきた。反応できず見事に腹に喰らった。
「ゲホッ!急になにするんだ君…!」
「あぁ?もう戦闘は始まってんだよ、さっさと立ちやがれ」
「ゲホッゲホ… 君、名前は?」
「先生に告げ口ですかぁ?」
「いいや、僕だけ名前を知られてるのは理不尽だ、教えてくれ」
「チッ、ガレフ・オーランドだ。もういいか、続きやろうや」
「ああ良いとも」
とりあえず槍を構える。相手は人間だ、こんな模擬戦闘用の槍で本気を出せば軽く脳震盪を喰らうだろう。手を抜いて…
「うりゃぁ!」
「!? 速い…!」
完全追いつけないスピードだ。武器は…。メイスか!クソ、メイスでこの速度とは結構やりにくい…!
「おいおい昨晩の威勢はどうした、あぁん!?てめぇあんま舐めってっと殺しちまうぞ?」
昨晩、つまりあの騒動を見ていたのか。僕の名前も知っているってことはあの場に居たって事だな。それにガレフか、聞いた事ないって事は魔道騎士コース推薦の人か。じゃあ僕のほうが劣勢。
「僕は限りなく正々堂々と…やってるよ」
「傷ひとつもつけれねぇ奴がなにを…ア!?」
腕と脚のあちこちにかすり傷?さっきの一瞬で俺につけたのか?いやわかんねぇ、いつだ!?
「おいおい神経死んでんじゃないのか?ちゃんとつけてるよ、傷。じゃあ再開しようか」
「へへ、やるじゃないか、ヒョロガリ」
これはワタシが止めに入った方がいいのか?
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