第31話 イキてるんなら56してみせる

 遅くなりがちで、申し訳ありません。ボチボチ書いてます。サブタイトルを『変更』して、加筆しておりますm(_ _)m


 ◆ ◆ ◆



――祝賀会から一夜明け。


 俺たちは『エルフの森』のさらに奥地、みそぎの洞窟にやって来た。ここはエルフの中でも、一部の者しか知らないまさに『秘境』だそうだ。

 明らかに空気が異なり、蒼い霧が神秘的だ。レンは既に白装束に着替えており、その姿はさなが修験者しゅげんしゃのようだった。


 先頭に足まで届く白ヒゲを蓄えた爺さんが、レンを引率した。恐らく『族長』だが、何年生きてるんだろうな。

 やがて、神秘的な『湖』にたどり着いた。なんだか、あの精霊に出会った場所に似てるな。


 レンは足元まで、水に浸かる。族長が何やら唱えた。ザァアァアアッ! 湖が渦巻き、レンの全身を覆った!


「……っ!? レンっ」

「待ってアレク、あれは……!」


 セレナの指差す方……そこには水を排斥し、宙に浮いてる・・・・・・レンの姿があった。


「フガフガ……これは一体!? こんな『現象』は初めて・・・じゃ!」

「落ち着け族長、また血圧が上がるぞ」


 興奮する族長を、バッツが落ち着かせる。


『……………………』


 レンは真っ直ぐ俺を見つめた。『外見』はレンなのだが、俺は『違和感』を感じた。レンであって、レンじゃない・・・・感じだ。


久し振り・・・・ね、アレク』


「…………っ!? アンタは……」


 俺は驚きを禁じ得なかった。それもそのハズ……姿はレンだが、声は奈落で出会ったあの『精霊』なのだから。


「……? アレク、急にどうしたの?」


「……後で説明する。なんで迷宮にいたアンタが? それよりレンに何をしたんだ?」


『まぁ落ち着きなさいな。一つずつ答えるから。まず、あなたの妹のレンだけどね……“完治”することはないわ』


 なっ…………その一言で、俺はガクッと膝をついた。セレナが「大丈夫?」と寄り添うも、聞こえてなかった。


『ちょ……話は最後まで聞きなさいな。ていうのも、あなたの妹は“病”ってわけではないわ。人間風に言えば、“呪い”よ。それに対処法がないわけでもないわ』


「…………どういう意味だ?」


 俺はわずかに顔を上げた。『対処法』があると言われたのが、救いだった。


『雲をつかむような話だけど、あなたの妹レンは“特異性”で精霊と通じ合えるのよ。けど、それをよく思わない存在が、レンに呪いを掛けたみたい』


「……どこのどいつだ。レンが一体、何をしたってんだ。住所教えろ、家まで行ったるわ」


『それがねアレク。その存在っていうのが、あなた達の言う“神”よ。どういう理由わけか、私たち精霊とレンの接触を恐れてるわ』


「分かった。今から神んに乗り込むわ。俺とレンは、ただ『平穏』に暮らしたいだけだ。それを邪魔する存在ヤツは、誰であっても排除する」


「ちょっとアレク、落ち着きなさい!」


 慌てるセレナに俺は、唇の端を広角度に吊り上げた。


「俺は至って『冷静』だぜ? 俺のレンに『呪い』とか、舐めたマネをしてくれたんだ。貧乏神か疫病神の類いだろ。俺の前に立ちはだかるなら、神も悪魔も関係ねぇ。イキてるんなら、確殺56してみせるさ」

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