第21話 『拠点 & 修行』
「さて、これで全員か。なんとか生きてるみてぇだな?」
私兵どもが消えて、俺とリラは奴隷のエルフを解放した。リラに持たせていたポーションを飲ませると、流石はエルフ。回復も早い。
「……解放してくれた礼は言おう。だが、我らは完全にアンタを信用したワケじゃない」
リーダー格と
エルフって色白で細いイメージがあったが、目の前の男はそれを覆している。長年の奴隷生活で、こんなに
「兄者ぁ、ご無事で何よりッス!」
「……リラ、どういうことか説明しろ」
へ? この二人って
「成程、まーウソではあるまい。エルフがウソ吐いたら、耳を噛み千切りられるからな。申し遅れたが、俺はエルフ族長代理のバッツという者だ」
バッツはニカッと笑いながら、俺とガッシリ握手をした。全身に生傷が絶えず、笑ってても結構な迫力がある。
「アレクだったか? 見返りはなんだ? プロがタダ働きをするとは思えん」
「鋭いな。俺にも
俺が話した途端、エルフたちは目の色を変えた。ありゃ? 地雷を踏んだか?
「何故アンタが、秘術を知ってる? リラぁ、まさかとは思うが……」
バッツに睨まれ、リラは激しく首を横に振った。よほど兄貴が恐いみたいだ。
「落ち着けバッツ、リラはバラしてねーよ。セレナっていう、もう一人の仲間がいてな。そこから秘術について聞いたんだ」
「……いまいち信用できんな。その仲間が、ウラで奴らと通じてるかもしれん」
不信感MAXのバッツ。まぁ奴隷を長くやってりゃ、人間不信にもなるわな。
「それはねぇって。俺たちが貴族連盟だったら、アンタらを解放するメリットがねぇだろ? それに後で、その仲間と合流する。その時に訊いとくわ」
「……成程、言い得て妙だな。一応、アンタを信じよう。ここにリラがいるのが、何よりの証拠だ。
「分かってくれたなら、それでいい。で? アンタらは、今後どうするんだ? 住み
俺の指摘にバッツは、腕組みをして唸った。思った以上に深刻そうだな。
「……ウム。故郷はなんとか奪還したい。幸い人質がいなくなって、我らも動きやすくなった」
悩んでるバッツに、俺はある『提案』をした。
「なんなら、俺が手を貸そうか?」
「……どういう意味だ?」
「そのままの意味さ。俺と組めば、アンタらは『確実』に故郷を取り戻せる」
「その代わり、我らの秘術を求めるか。フーム……」
バッツはまた腕組みをして、思案に
「……悪いが、一旦保留させてくれ。いくら『代理』とはいえ、俺の一存では決めかねる。それに俺たちの故郷は、自らの手で取り戻したい。幸い
フム? 確かによく見ると、エルフに混じってドワーフもちらほら居た。犬猿の仲で有名だが場合が場合だったし、そんなことも言ってられんか。
「OK。俺もここを『拠点』として使わせてもらう。いつ連中が第2、第3波を送ってくるか分からんしな。アンタらは、反撃の準備に専念してくれ」
「恩に切る、それとアレク。
「兄者ぁ……ホメてるのか、ディスってるのかどっちッスかぁ?」
俺は快く引き受けた。よかったなリラ、正式に俺に弟子入りできて。
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