第20話 『迷宮の掟』

【注意!】『残酷な描写』があります!


 ◆ ◆ ◆


「ヒャッハー☆ ヒャハハハハッ!?」


 所構わず、木霊する世○末の雄叫び。こういうやから、どこにでもいるのな。


「オラッ、キリキリ働けよ奴隷どもッ! ここの鉱石は、余所で高く売れるんだとよッ!? 風が吹けば、桶谷ならぬ俺らが儲かるよッ!」


 足を折られ、這いずってるエルフ。壁に手枷で、拘束されてる者も多数いた。逃亡者への見せしめだろう。


「ジャマするぜ? 盛り上がってるな」


「あ"あッ、どこのモンじゃ我ェ!?」


 すかさず武装した私兵が、俺を取り囲んだ。よく見ると、それぞれが『拳銃』を所持していた。成金に雇われてるだけあって、装備だけは豪華だな。


「どこのモンも何も、俺はシーカーだ。正規の手続きを経て、迷宮に潜ってる。そーいうお前らは『迷宮荒らし』か。ギルドが黙ってるのも、貴族が揉み消してるんだろ」


「アヒヒヒャ! そーかい、シーカー様か。ここまでご足労なこった! んじゃ4ねやッ」


 私兵の一人が、俺に銃口を向けた。が、引き金が引かれることはなかった。


「な……ナンだッ!? 体に力が……てか、勝手に動くゥ!?」


「ん? お前ら、荒らしなのに『掟』も知らんのか? 迷宮ここじゃ何があっても『自己責任』だ」


 男は口を金魚みたくパクパクする。レベル差で、状態異常が回るのも早いな。


「で、迷宮じゃ『理不尽』のオンパレードだ。『終わり』は、なんの前触れもなく来る。今のお前みたいにな」


 俺は人差し指で、自分のこめかみを「Bang!!」と撃つ手振りジェスチャーをした。ほぼ同時に男は拳銃を自らのこめかみに当て、躊躇うことなく引き金を引いた。


――ドバンッ!


 男の頭部は、キレイにぜた。他の私兵どもはgkbrしながら、集団で足元を濡らした。汚ぇな、もう少し8り方を考えるべきだった。


 ちなみに今のは、“混乱と魅了”を組み合わせた新たな状態異常の『強制ギアス』だ。一度だけ、相手を制御コントロールできる。

 迷宮内で、“同じ敵”と遭遇するのは稀だ。なので、効果は一度きりで十分。そう考えると、あのカマキリは『有能』だったワケだ。


 私兵どもを排除したら、ここを『拠点』にするつもりだ。なるべく汚さないようにするか。ここで俺に『妙案』が浮かんだ。


「お前ら『レミング』って小動物、知ってるか?」

「ハン? レンコン……?」


 そりゃ食い物だろーが。


「集団で川に飛び込むヤツな。お前らもレミングにならって、飛び込んでみるか?」


 俺は親指で、後ろの『大穴』を差した。激しく首を横に振って、拒否る私兵ども。


「なーに、運がよけりゃ『骨折』程度で済む。これからはエルフに頼らず、力を合わせてイキてくんだぞ?」


 俺の合図と同時に私兵どもは、列を為して順番に飛び込んでいく。これがホントの『4の行軍デ○マーチ』だ。


「ハハハ、見ろよリラ。ヒトもどきが、まるで53のようだ!」

「…………お師匠のやり方、慣れるのに時間が掛かりそうッス」


 ったく、仮にも戦闘員なのにレベル差も理解できんか。俺の押し掛け弟子リラの方が、全然優秀だったな。

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