第17話 リラ・トロンハイム

       ※ 注意! ※


【暴力的な描写】があります! 苦手な方は読み飛ばしてください(><ゞ


 ◆ ◆ ◆


「♪クビが飛ぶ~クビが跳ぶ~奴隷とアッシの首が飛ぶぅ(TДT)」


 司会は半ばヤケクソだった。メインの稼ぎ頭を手放そうとしていて、それがさらに『混乱』に拍車が掛けた。


「♪爪が飛ぶ~爪が飛ぶ~あっそれッ!?」

「なっ……止めんか無礼者っ」


 錯乱した司会は、ペンチで自らの生爪を剥ぎ観客席に飛ばした。元から混乱してたから、さらに錯乱したようだ。


「ヤメロって、こんな気持ちイイことヤメれるワケないしょ!? ア"ーッ、なんか血が見たくなったキタッ!?」


 司会はケタケタと狂笑を浮かべながら、裏方からチェーンソーを引ったくり、観客席に踊り掛かった! 会場はたちまち、地獄絵図と化した。


 出口に殺到しようとするも、各々デタラメな方向に走り出す。『幻惑』により、完全に方向を見失っている。さらに『沈黙』も効いてきて、助けを求めることすら叶わなかった。


 目隠しに猿轡さるぐつわ。エルフにやってきたことが、そのまま返ってきた。俺はその隙に、はりつけにされていたエルフを救助した。


「よっと……大丈夫か? 安心しな、俺は奴らとは違う」

「……………………」


 救助されても、魚の4んだような目のエルフ。なんか『一昔前』の俺みたいだな。


「アレク! バックヤードのエルフたち、避難完了したわ!」

「上等。んじゃ、そろそろ司会に締めてもらうか」


「ア"ツくなってキタァあ"あ"ア"アッッ!! 皆さんで汗を掻きまセウッ!?」

「……っ!? …………っっ!!」


 ア○どもは必死に身振り手振りで、やめろ! と訴える。司会はお構いなしに、全身に油を被った。何かの拍子で着火し、会場は一瞬で『サウナ』と化した。


 会場はあっという間に煙で充満し、テントは焼けただれ崩れ落ちた。ア○どもは全身真っ黒焦げになりながら、家畜のように遁走とんそうしていった。


 俺はその様子を眺めながら、ニッコリと微笑んだ。


「ありがとうございましたァ、またのお越しをお待ちしておりませぇん♪」



 ◇ ◇ ◇


 モクモクと黒煙が立ち上がり、消防団が出動する中。俺たちは、路地裏で落ち着いた。生53が臭いが、贅沢は言ってられん。

 幸いエルフは、全員が生存していた。セレナが応急処置を済ませている。


 はりつけにされてたエルフは、目立った外傷はなかった。金髪ロングの巨乳で、よく見ると容姿も整っていた。あの司会は『再生』能力があると言ってたが、ここまで回復が早いとは。


「さてと、無事で何よりだ。お前らには、他のエルフの居場所まで案内してもらうぞ?」


 これを聞いて、セレナは盛大にズッこけた。なんかだんだん、反応リアクションが大きくなっとるな。


「ちょ……ちょっとアレク! 『人道的』な理由で、彼女らを助けたんじゃないの?」

「シーカーは、ボランティアはしないっつったろ? 見返りが見込めるから、助けたんだ。とりあえず、名前を訊いておこうか?」


 金髪エルフは、まじまじと俺を見つめた。しばし逡巡しゅんじゅんした後、意を決して口を開いた。


「……リラ・トロンハイムっす。仲間に危害を加えないって約束してくれるなら、話してもいいッス」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る