第16話 『見せ物小屋』

       ※ 注意! ※


【胸ク○描写】があります! 苦手な方は読み飛ばしてください(><ゞ


 ◆ ◆ ◆


 ショーが始まった。それは『常人』から見て、目を疑う光景だった。隣のセレナの表情が、歪んでいくのが見て取れた。


 まず目隠しのエルフが、見せ物と称して晒された。いずれもどこかしら欠○しており、酷い者は動物の脱け殻を被せられたり、無理やり毛皮を張りつけられていた。


 エルフポンプやエルフ放射器など、筆舌に尽くし難い『暴挙』が続く。見せ物のエルフはいずれも猿轡さるぐつわをされており、悲鳴を上げることすら許されない。


 中には、ピクリとも動かなくなった者もいた。4んでも構わないという扱いで、失神したエルフは『黒子』により強制退場された。


 前列のク○どもは何が面白いのか、歓声を上げたり拍手をしたりした。ここでセレナが、“限界”を迎えたようだ。


「……アレク、もう我慢できないわ」


「まぁ気持ちは解るぜ。あんなモノ見せられて眉一つ動かさない奴がいたら、俺がぶん殴っとるわ」


「さて皆様! 盛り上がってる中、本日の『メインイベント』で御座いますッ!」


 はらわたが煮え繰り返ってるセレナを余所に、イベントは続く。はりつけにされた一人のエルフに、スポットライトが当たった。


「こちらの商品・・、どんなケガでも立ち所に『再生』致しますッ! 百聞ひゃくぶんは一見にかず、まずはご照覧しょうらんあれッ」


 司会がおもむろにペンチを取り出し、エルフの足の生爪を剥いだ。鮮血が舞い、エルフは身じろぎするも、泣き叫ぶことすら許されなかった。

 剥がされた爪は、ものの一分で生え変わった。これには客席からも、「おぉ」とどよめきが起きた。


 その後も、イベントという名の『拷問』は続いた。毒を飲まされたり全身をあぶられたり、やりたい放題だった。

 エルフは、特に毒の影響は受けていない。体質なのか、強い『耐性』があるようだ。


「気に入ったザマス! 『それ』を売って・・・頂戴な。愛玩具オモチャとして、ウチの子が喜ぶわ!」


「お客様、申し訳ございません。こちらは『非売品』でして、ウチらもコレ・・で生計を立ててますので」


「なんだ、つまらんな。そうだ司会、もしソレ・・の首をねたらどーなるのだ? トカゲみたく生え変わるのか?」


 客の信じられない要望に、流石の司会も「えぇ!?」とドン引きした。


「お……お客様、流石にそれは試したことはありません。首を刎ねられ生きてたら、それこそ『化物』……」


 お前はどの口で言っとるんだ。


「構わん。成功したら、今後贔屓ひいきしてやる。失敗しても、ワシが全額補償もってやるからやれ」


 周りの観客も、「いいぞ、やれ!」とはやし立てた。司会も諦め、裏方にチェーンソーの準備を促した。


 セレナが、戦々わなわなと肩を震わせた。


「……もう堪忍ならない。コイツらは『人間』じゃない! 『悪即斬』の元、斬り伏せる!! アレク、まさか止めたりしないでしょ?」


「こんなゲスどもの返り血を浴びたら、お前の名刀の名が泣くぞ? コイツらは、お前が言う悪即斬にも値しない。俺に任せとけ。盛り上がってる会場を、さらにヒートアップさせてやっからよ」


 俺は唇の端を、広角度に吊り上げた。ある意味、“魔物より”狩り甲斐がある。最後の余興、俺が派手に演出してやんよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る