第3話 獣食った報い(プチざまぁ)
「よっしゃ! やっと希少種を追い詰めたぜ! 『今度こそ』頼むぜ、セレナっ!?」
全身汗だくで、アレクの元メンバーのゴートが吠えた。セレナと呼ばれた銀髪ロングの美剣士は、静かに抜刀の構えを取った。
「――秘剣・風林華閃っ!」
手元が全く見えず、不可視の三連撃が『同時』に希少種に迫った! が、希少種は持ち前の素早さで
「ア"ーッ、また逃がしちまった! コレで何回目よ? 頼むぜセレナぁ、高い
ボヤき倒すゴート。アレクをクビにしてから一週間、彼らは『代役』としてセレナを雇っていた。
「……簡単に言うけど、あれは『希少種』よ。常人の攻撃なんて、ほぼ『当たらない』わ。運が良くて、せいぜい『百回に一回』ね」
「ホンマかいな? アレクは『当たり前』のように当ててたケドなぁ??」
「なんつーかお前さん、“器用貧乏”だよなぁ。当たれば『一撃必殺』なのによぉ」
「ホント、アレクの『必中』スキルと足して2で割れば、イイ
ルウがうっかり、口を滑らせた。
「……なんですって? 説明して。『必中』スキルなんて
「分かった。分かったから、落ち着け」
セレナに詰め寄られ、ゴートは
それもその筈、ゴートらはアレクの活躍を伏せていた。ギルドには、自分たちの『手柄』だと自慢していた。
「……俺らのパーティーにちょっと前まで、アレクっていうのが居たんだけどよ。凶悪種に強襲された俺らを庇ったのよ。ここは俺に任せて、先にいけってな」
「……それで?」
「……アレクの『必中』スキルは、その名の通り必ず命中するんだけどよ。たったの『1ダメージ』しか与えられなかったんだ。責任感の強いアイツは、ずっとそのことを気にしてたんだろうなぁ」
息を吐くように、ウソを並べ立てるゴート。
「まさか『仲間』を見殺しにしたの……!?」
「俺たちだって、そんなマネはしたくなかったんだ! けど消耗してた俺らは、撤退するしかなかった。うぅ……アレク、ゴメンなぁ」
ウソ泣きまで始めるゴート。他二人もやれ「俺たちにもっと力があればァ」だの、「惜しい仲間をなくしたわ、アレクぅ!」だの、床ドンなどした。
セレナは小さく嘆息した。
「よく分かったわ。アナタたちは、信用に値しないってね」
「……っ!? そりゃどーいう意味だ?」
号泣がウソみたいに、ピタリと止む一同。元々、ウソ泣きなのだが。
「どういう意味もなにも、そのままの意味よ。探索者は、お互い『命を預けあう』ものよ。アナタたちも『名ばかり』とはいえ、周知の事実でしょ?」
腕組みするセレナに、互いに顔を見合わせる三バカ。
「ライノス。
「「「…………」」」
セレナの指摘に沈黙する三人。
「反論がないということは、自覚してるのね。私はこれから
去っていくセレナを、三バカは呆然と見送る。姿が見えなくなってから、ゴートがイキり立ち壁ドンした。
「ンだぁあのク○アマぁ! こっちが下手に出てりゃ、ツケ上がりやがって! この俺が土下座までして、勧誘したってのによォ!?」
「つーか、正直に言ったほうがよかったんじゃねーか?」
「
セレナに対する愚痴が止まらないが、ゴートがあることに気づいた。
「ア"ッー! てか、迷宮ボスをセレナに獲られたら、昇格できねーじゃん! 俺らの名を売るチャンスなんだからよッ」
今まで何やってたんだ? と突っ込みたくなるが、セレナのことなどソッコー忘れ、迷宮内を爆走する三バカ。
ここから『転落劇』が始まるなど、微塵も思ってないだろう(合掌)
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