第10話 吉原幸子「オンディーヌ」

ご存知でしょうか?かの著名な女流詩人・吉原幸子の詩「オンディーヌ」を。その詩文にある「ふたつの孤独の接点がスパークしてとびのく…」に見られる、肉体が結ばれても決して完全には理解し得ない、結ばれ得ない人と人との間の絆、なかんずく男女間のそれ。この謂わばブラックホールのごとき得体の知れない人と人との絶対的な隔たりを理解し(できれば)これを解消したいと、大それた主題を含む小説でもあるのです。さらに一項を持ち出すならかのE・スェーデンボルグの奇書「霊界日記」内にある〝霊界における結婚式〟を上げたい。霊界における結婚とは男女それぞれの霊が結ばれて何と身体までもが一つになってしまうのだそうです。すなわち2人が1人になってしまう分け。これを上記「オンディーヌ」の隔たりを超え行く上でのゴールと見ますと、その心理的な有り様と経過を私は小説内で模索せねばなりません。以上手前味噌ながらこのような醍醐味を持つ作品ですので、このあたりを読者におかれてましてはお汲みいただければ幸いです。by多谷昇太 】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る