第37話 初代勇者は弱い

初代勇者が弱い?


俺よりも?


いや、流石にないだろ。だって仮にも師匠を封印できたやつだぞ?それなのに俺よりも弱いってどういうことだ?


「師匠。流石に嘘は良くないぞ」

「嘘じゃないぞ?今のお前のほうが絶対に強い」

「仮にも師匠を封印したんだよな?俺よりも弱いわけが無くね?」

「あー言ってなかったか?我がノリノリで封印されたこと」

「はい?」


ノリノリで封印された?初代勇者に?


どういうことだよ。


師匠はいかにも忘れてたという表情で言った。


「ちょっと色々あってな。別に封印なんて全然余裕で解除できるんだがな」

「色々ってなんだよ」


師匠は少しだけ考える素振りを見せた後に、


「....まぁ言ってもいいか」


そう言い、語り始めた。





あれは、我が玉座の上で寝ていたときのことじゃ。


急に扉が開いて、部下たちに居眠りがバレたのかと焦って、起きたんじゃが.....


「お前が魔王か!俺が討伐してやる!」

「頑張ってください勇輝さん!魔王なんて余裕ですよ!」

「そう。勇輝にかかれば魔王なんて朝飯前」

「べ、別にあんたに死んでほしくないわけじゃないけど、身体強化はかけてあげるわ!感謝しなさいよね!」


こいつ絶対に異世界を満喫していたな。と我は思った。


なんか、そこまで強くなさそうなやつがイキりながらハーレム築いてるんじゃが。


こいつのレベル99くらいじゃろ。


なんでこんなにイキっておるんじゃ?


人間はよくわからんな。


「おい魔王!」

「何じゃ」

「お前は悪いことをした!だから今ここで、お前を倒す。だけど、僕はとても慈悲深いんだ。だからチャンスをあげよう」


なんか言い出したんじゃが。我が貴様ごときに倒されるなんて天地がひっくり返ってもありえんわ。


馬鹿じゃなこいつ。


「君が僕の仲間に入るなら、君を助けてやっても良い。さぁどうする?」

「キャー!勇輝さんってば魔王にまで慈悲をかけるなんて優しすぎるわ!」


何だこいつは?ふざけているのか?


「入るわけがなかろう。殺すぞ人間」


そう言うと、勇輝はボソッと


「クソッ!何で入らないんだよ!魔王を入れたら、僕のパーティーは、純愛のヒロインと、クーデレとツンデレとのじゃロリで最高だったのに!」


と言った。


魔王にははっきり聞こえていたが、このときには、こいつはそういう人間だと割り切っていたため、そこまで気にしていなかった。


まぁ殺しても良かったが、後片付けが面倒くさいのでやめた。


はぁ。これからこいつらを城から出した後にまた仕事か。


と思っていたが、ふと我の頭に一つの策が思いついた。






「それが封印ってことか」

「そうじゃ。我が勇者たちに封印して貰えば、仕事をしなくて自由に暮らせると思ったからな!」

「どうやって封印させたんだ?」

「手加減して戦っているときに、それなりの強さの封印魔法を書いた紙をばらまいたら、これは神からの手助けだ!とかなんとかほざいて使ってくれたぞ?」


紙だけにってか?


アホかよ勇者。

神が手助けしてくれるわけ無いだろ。

どういう思考してんだよ。


しかも師匠をハーレムメンバー扱いとか終わってるだろ。









あとがき

なんか寒くね?




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