第36話 師匠との試合

「よし!じゃあ今日から我と試合をするか!」


そう言われたのは、一時間前のことだ。


突然の爆弾発言により、俺たちはびっくりしながらも、指定された場所に来ていた。


朝起きたら師匠が横にいてそんなことを言われたらマジでビビる。心臓が止まるかと思ったわ。


そんな朝のことを思い出していると、


「よし。じゃあ始めるとするかの。2人同時にかかってこい」

「じゃあ遠慮なく!」


師匠は俺たちが2人で相手しても絶対に勝つことはできない。


俺とユリナはそれを理解しているため、遠慮なく突っ込んでいく。


ユリナがハンマーを持って師匠に近づく。


俺は刀を創り出して師匠の背中に回る。


正面からユリナがハンマーを振り下ろし、俺は背中側から刀を振る。


倒すことはできないが、傷をつけるくらいならできるだろ。


しかし、師匠は、ユリナのハンマーを左手の小指で止め、俺の振った刀を、人差し指と中指の間で掴んでいた。


「ハッハッハー!!良い連携だ!しかし、我には通用せんぞ!」


そう言いながら師匠は体内の魔力を放出するだけで俺たちを壁まで吹き飛ばした。


「ッ!」


俺はすぐに対応し、受け身を取る。


チラッとユリナをみたが、しっかりと受け身は取れていたようだった。


「よそ見とは良い度胸だ!」

「ガッ!!」


俺は首を師匠に掴まれ地面に叩きつけられる。


クソッ!ミスった!

速すぎるだろ!


あの距離を一瞬で詰めてこれるのか!


俺が叩きつけられた後に、ユリナが背後から師匠に迫る


「ふんッ!!」

「良いタイミングだ!だが、軽いッ!!!」

「うわっ!!」


ユリナはハンマーごと壁へと叩きつけられる。


あれは気を失ってそうだな。


「どうしたお前たち!もう終わりか!」

「いや。これからだ!」


俺はその場から立ち上がり、そう言う。


戦神アレス】を発動させ、【戦神之領域アレス・フィールド】をすぐさま展開する。


「行くぞ!師匠!」

「来い!」


俺はこの前ダンジョンで実験した、武器(刀や剣)の複数操作を練習していた。


最初は20本を同時に動かすと、自分も動けなくなっていた。


だが、今の俺は、百を超える武器を操れるようになっていた。



俺はすべての武器を動かしながら、自分も師匠を攻めに行く。


師匠は百を超える武器と、俺の攻撃を受けているはずなのに、まだまだ余裕がありそうな表情をしていた。


「お前の力はこんなものなのか!イスカ!!」

「いや!まだだ!!」


俺はすべての武器のスキルを発動させる。


「喰らえ!!!」


断絶アブソリュート】✕100


「ッ!!」


これには師匠も驚いたのか、表情が引きつっていた。


俺は師匠のいたところを見る。


徐々に巻き上がった煙が晴れていき.....


「バケモンかよ」

「ハッハッハー!今のは少し危なかったぞ!」


師匠はそんなことを言っているが、実際は無傷だった。


マジかよ。いまのは普通にダメージが入ったと思ったんだが、かすり傷一つついてないとかどういうことだよ。

自信なくすんだが。


「まぁそう落ち込むな。我に魔法を使わせたのはお前で二人目だ。誇っていいぞ」

「一番初めは誰なんだ?初代勇者なのか?」

「いや、我の父じゃな。初代勇者はそこまで強くなかったぞ?」


へぇー。.......ん?


「俺のが強いってこと?」

「そういうことになるな」


え?



あとがき

初代勇者がイスカよりも弱い?






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