第21話 ユリナの過去・後半

私は絶望しました。


私だけが生き残って、みんなが死んでしまったことに。


村を失ってしまったことに。


何より、



























あぁ。私はなんてどうしようもないクズなんだろう。


なんでみんなが死んでしまったのに、喜んでいるんだろう。


そんな自分に嫌気が差しました。









私は孤児院に引き取られました。


親が死んでしまったため、冒険者の人たちが孤児院に入れてくれたそうです。

その孤児院があるのが魔法都市エドナスでした。


私は連れてこられた当初、自責の念に駆られており、まともに食事もせず、ただただ一日を何もすること無く終えていました。


私は、孤児院で何度も死のうとしました。

だけど、その度に生きたいという願望が出てきて、死ぬことはありませんでした。


そんなある日、孤児院の先生が、私に言いました。


外に出ようと。




エドナスは素敵な街でした。

いろんな魔法で溢れ、魔導具を使って街を発展させている。


ただの村娘の私には、とても強い刺激になりました。


孤児院の先生は、私の表情に満足したのか、顔をほころばせて私に言いました。


「君が生きているのは、みんなの未来を託されたからだ。

みんなの希望なんだよ、君は」


私は先生が何を言っているのか分からなかった。


希望?私が?みんな死んだのに一人だけ生き残った私が希望?

私は死んでいったみんなの憎しみの対象だ。

今も耳をすませば聞こえてくる。

何故お前だけって。

だから、私はみんなの希望じゃない。憎しみの対象だ。


そう先生に言うと、先生はこういった。

「君の周りにいた人たちは、厳しかったのかい?」


私は違うと答えた。

みんな優しい人達ばかりだった。

間違えた時は叱ってくるけど、その後に優しく、どこがいけなかったのかを言ってくれた。みんなそんな優しい人達だった。


「その優しい人達が、君を恨むことなんて無い。君は村で唯一生き残ってくれたみんなの、村の希望なんだ。だから死ぬなんて考えないでくれ」


私には、その優しさが心地よかった。


私はこの優しさに憧れた。


私も、こんな優しい人になりたいな。




「これが私の過去です。トラウマになっていたんでしょうね、あの出来事が」

「ありがとう。教えてくれて」


なんて悲惨な過去なんだ。

俺に喋るのも相当な勇気がいるはずだ。

それなのに話してくれたユリナには感謝しないとな。


「今回もまた逃げてしまおうとしていたんです。またこの前みたいになるかもしれないって。また大切な人を失うところを見たくなくて。ごめんなさい」

「謝らなくていい」

「でも...」

「謝らなくていい。大切な人を失うところを見たくなかったんだろ?それはみんな同じだ。お前だけが生きちゃいけないなんてことは絶対にないし、そんなことを言うやつは俺が殴ってやる。だから自信をもって生きろ!」


ユリナは俺の言葉が刺さったのか、目に涙を浮かべながら、



「はい!」




そう、口にした。











あとがき

なんかいい感じの所悪いんですけど、前半と後半の文字数の差がえげつない。

2つに分け無くてよかったくね?







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