第19話 スキルの確認

唐突におっさんからC級にさせられた翌日。

俺は今、草原へと来ていた。


「ここなら人気も少ないし、大丈夫だろ」

俺が今日この草原に来たのは、この前獲得したスキルの能力を確認するためだ。


まぁなんとなくこんな感じの能力だろう、と思っているものもあるが一応だ。


とりあえず、【神眼】からだ。

流石に【戦神】を使うと眠ってしまうのに、先に使うほど頭は悪くないからな。


【神眼】で俺が効果を知らない能力は、魔力視と解析、それと未来視・思考加速だな。


まずは、魔力視から使ってみるか。


【魔力視】


目を開けると、周りがいつもと違うように感じた。


「何だこれ」


周りを見渡すと、ありとあらゆるものに、紫色の粒のようなものがまとわりついていた。恐らく、これが魔力なんだろう。


試しに、初級魔法を軽く撃ってみると、魔法の周りにやはり紫色の粒がまとわりついていた。そしてその中に、とても濃い紫色の塊のようなものがあった。


「もしかして....」


そう思い、あまり殺傷性のない水の初級魔法【ウォーターボール】をゆっくりと前に撃つ。


そして俺はその【ウォーターボール】の前へと移動し、刀を抜いてそれを


「やっぱりこれが魔法のか」




魔法の核。

魔族のみが見れるとされているもの。

魔法は通常、刀や剣などで切れるものではない。


しかし、それは魔法のが見えていないからだ。


この前のエデス戦で、エデスが魔法を斬ったように、魔族には魔法の核が見えている。そのを斬ることによって、魔法は消散する。


かつて多くの研究者達が、魔力の視認についての研究をしていたが、成果はゼロ。

生き物として目の構造が違うため、視えるようになるわけがないと、多くの研究者がさじを投げた。


そして俺は恐らく今、人類初の魔法の核を視認し、魔法を斬った人間となった。



まぁどうでもいいか。

次は解析か。

解析だから、普通にやっても発動しないかもしれないな。

草とかにやってもそれは鑑定だしな。

とりあえずやってみるか。


【解析】


.........予想が当たったな。解析は結界とか、原因不明のものを解決するときに使うみたいな感じか?

まぁ、また今度か。


次は未来視・思考加速かな。

先に思考加速の方を使ってみるか。


【思考加速】


........よくわからんな。周りに動いてるものが無いから思考加速してるのかわからないな。仕方ない。魔物でも探してくるか。







ということで、今俺の前にはゴブリンが三体いる。こいつらで確かめてみるか。


俺は石を投げ、一体のゴブリンの頭を破裂させる。

それに気付いたゴブリンが、俺に向かって突っ込んで来る。


【思考加速】

おぉ。本当にゴブリンがゆっくり動いているように視えるぞ。


この状態で動けは.....流石にしないか。


思考が加速しているだけのため、体を動かすことはできないようだった。

当然だろう。この状態で動けもしたら、相手になるやつなどこの世にいなくなる。


いや、魔法なら使えるんじゃないか?


魔法は考え、想像することによって発動できる。

俺は【ファイアボール】を相手に放つように、想像する。


すると、


出た!


【ファイアボール】が目の前に出てきた。

やはり、魔法なら思考加速中にも撃てるようだった。


俺は確認したいことはし終えたため、思考加速を解く。


すると、思考加速中に撃った【ファイアボール】が一体のゴブリンへと向かっていった。


「ぐぎゃぁぁあああああ」


見事【ファイアボール】は命中し、ゴブリンを焼き殺した。

それを見て焦ったのか、最後の一体が棍棒を振ってくる。


ちょうどいい。ここで未来視の方も試しておこう。


そう考え、俺は【未来視】を発動させる。


すると、ゴブリンが2つに分かれていた。

一体は、もう一体よりも先に攻撃をしており、もう一体はその大体一秒後に攻撃をしていた。

なるほど。こういう感じに視えるのか。


さっき使ってみてわかったことだが、エデス戦でこの未来視と思考加速は使っていた気がする。

思考加速によって相手の隙を見つけ、未来視でカウンターを仕掛ける。

そんな感じの戦法を取っていた気がする。


まぁそんなことはもういい。

次は今日のメインである【戦神】だ。


正直、今ここで【戦神】を使うのは危ない。

睡眠が何時間になるか、わからないしな。

だけどいまここで使っておかないと、今後の戦いで、不利になることがあるかもしれない。

だからいまここで発動し、能力を把握する。










戦神アレス










やはり、ステータスが上がるからか、万能感に満たされている。

そして、鑑定では書かれていなかったが、武器を生み出すことができるっぽい。


魔力は消費するが、その魔力に伴った武器が出てくるみたいだ。



....一個だけ作ってみるか。



戦神之武具アレス・ウェポン



俺は自分のすべてのMPの半分ほど、魔力を込めてみた。

すると、


「おぉ」

眼の前には眩しいくらいに光っている武器が出てきた。


実際は光の反射で眩しくなっているだけだが....


持ってみると、衝撃の事実に気がついた。

「これオリハルコンじゃん!!」


そう、この世界に置いて最も硬いとされている鉱物。

オリハルコンでできている剣が現れた。

売れば数億メルはくだらない。

それくらい価値のある鉱物でできた剣だ。

その性能は言うまでもなく最高だろう。


そうして、オリハルコンが出現したことに喜んでいると、

あっという間に3分経ち、


「あっ。やったわこれ」


俺はスキルの確認があとちょっとなのにもかかわらず、意識を手放した。


浮かれすぎたか。





あとがき

エデスが魔法を斬れたのは、魔族だからなんです。

魔族はみんな生まれながらに魔力視を持ってます。

ということは、後からだけど魔力視が使えるイスカは魔族??




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