第16話 戦神・後半

エデスside

この程度のやつ、そこまで時間はかからず殺せるだろう。


それが最初に感じた、俺からあいつへの評価だ。


知恵を使ったり、剣術なども少しはできるようだが、それでも脅威にはならない。

そう思っていた。


あいつが変わったのは俺があいつ、イスカを追い詰め、殺そうとしたときだ。


イスカの首に剣が当たるというときに、凄まじいほどの圧がかかった。


俺はそこから剣を動かすことができなかった。


圧に慣れてきた頃、後ろに飛び、圧を出している張本人の方に目を向ける。


それは先程まで取るに足らない存在だと思っていたイスカだ。


イスカは先程とはまるで別人のような雰囲気をまとっていた。

その立ち方は、素人が見れば隙しか無い立ち方だが、強者からすればまるで隙の無い圧倒的強者の立ち方だった。


俺は冷や汗を流した。

だが、

「それでも俺が勝つ!」

そう言って向かっていった。




イスカside

なんだこの感覚は。

不思議な感覚だ。


今ならやってみたかったことが全てできるかもしれない。

俺はそんな全能感に包まれていた。


エデスが何かを言って向かってくる。

先程では認識することすらできずに死んでいっただろう。


だけど、今は何故か


右の袈裟斬り、足払い、右腕への突き、真っ向斬り。


やっぱり


俺はエデスの攻撃を避けてカウンターを仕掛ける。


「クッ!!」


今度はしっかりと捉えており、エデスの右足を斬り落とした。

そして倒れ込んだエデスの左足を斬り落とす。


「終わりだ。エデス」

「フハハハハハハ!!!!!!まだだ!まだ終わってなどいない!」


そう言うと、エデスは服の中から瓶を取り出し、その中の薬を飲み込んだ。


「ハハハ!!これはステータスを強制的に2倍にする薬だ!飲んだら俺も死ぬが、お前も道連れにして死んでやる!!」


エデスはそう言うと、俺に向かって突っ込んでくる。

薬を飲んで足が生えたらしい。


俺はユリナに買ったときに一緒に買ったマジックバックから、いくつもの武器を取り出す。そして、それを周りの地面に突き刺す。

そう、これこそが俺が一番力を発揮できる領域。








戦神之領域アレス・フィールド









突っ込んでくるエデスに地面に突き刺していた、刀を抜いて対応する。


エデスはステータスが上がったと言っていたが、癖が変わることは無い。

エデスは攻撃をする際に、必ず右足が後ろに下がっている。

そして攻撃するところを目で素直に見ているため、対処は簡単だ。


右足を下げたときに、エデスが見ているところを見て、そこに合わせてカウンターを入れる。


「ガッ!」


刀をエデスの腹に突き刺し、地面から槍を取り出す。

槍を使い、右足に突き刺す。

地面から剣を取り出し、今度は左足に。

そして、最後に短剣を両腕に突き刺した。


「アガッ!」

「今度こそ終わりだ。エデス」

「まだだ!!まd

エデスが言い終わる前に、首を跳ねる。


やっと終わった。俺は勝ったんだ!

ステータスを見てみたいが、疲労感がハンパじゃない。

あぁクソ。意識が持たねぇ。


そこで俺の意識は途絶えた。




とある冒険者side

俺は見たんだ。壁の上から、太陽の如き熱を持った魔法を撃った人を。


俺はびっくりしたよ。魔物の大群を一気に減らしたんだから。

だから俺はその人に興味がわいて、ついていってみることにしたんだ。


「はぁはぁ」

速すぎるだろ!あの人!

無理だよ!追いつけるわけがねぇ!

戻るか。

そう考えたとき、凄まじい圧が体を覆った。

足どころじゃない。全身が震えている。


この先に、あの人がいるのか?

そう考えると、足が動いた。

体が行っては行けない、危ないと全力で警鈴を鳴らしている。

だが俺は、持ち前の精神力でそれを無視し、突き進んだ。


そこには、いくつもの武器を地面に突き刺し、手に取った武器をまるで自分の体の一部のように、華麗に扱っているあの人の姿があった。


俺はこの光景を見て、一言呟いた。

あの人は戦の神












【戦神】だ。と











あとがき

イスカが強くなりました。

さて、ステータスはどうなってるんでしょうね。

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