第13話 お買い物

「あの!イスカさん!お買い物に行きませんか?」


そう言われたのが1時間前だ。


俺は今、エドナスの街にある噴水に座っている。

しっかりとした服は持っていないから、召喚された時の服のままだ。

白いワイシャツに、黒のズボンそれが今の服装だ。


「お、お待たせしました!」

「全然待ってないから良いぞ」

ホントだぞ?ここに来たの3分前くらいだ。


それにしてもおしゃれをしてるな。


ユリナは、白のニットにグリーンのレーススカートをあわせている清楚な感じの服装をしていた。


それがとんでもなく似合っているので、周囲の人達からの視線がとても痛い。


うーんここは正直に褒めたほうが良いよな。


「似合ってるなその服。清楚な感じがしていてすごく良い。

俺の好みどストレートだ」


そう、この服装は俺にとってどストライクだった。

さっきからちょっと緊張している。


「あ、ありがとうございます///」

「どういたしまして」

やばい。可愛い。照れたらものすごく可愛い。やばいわこれ。


実際周りの男達はユリナのこの仕草に心を撃ち抜かれていた。


彼女持ちの男も見事にハートを撃ち抜かれており、みんな彼女からのグーパンを顔に受けていた。


「行こうぜ。ユリナ」

「はい!」


で、来たところが...

「服屋さんか」

「はい。イスカさん、それ以外の服を持っていなさそうだったので...余計なお世話でしたか?」

「いや、ちょうど俺も買いに行かないとなと思っていたところだ」

「それなら良かったです」

そう行ってユリナが微笑む。


くッ!その上目遣いと笑顔は反則だろ!


またもや周りの男がユリナの笑顔に撃ち抜かれており、彼女が今度はグーパンの連打を浴びせている。その後、次は無いからな?みたいなニッコリとした笑顔を浮かべていた。彼女持ちはみんな我に返り、顔を青ざめさしていた。


すごいパンチだ。あれならC級の魔物が余裕で倒せるぞ。


そしてその日、何故かスイーツ店の売上がとても良かったらしい。

この1件でこの日はスイーツの日になったとかならなかったとか。







「おーいろんな服があるな」


店の中に入ると、たくさんの服があった。

俺の今の服装に似ているものや、いまユリナが着ているような私服もあった。


正直、自分じゃ何が良いのかがさっぱりわからない。

ということで、ユリナに聞いたら、


「任せてください!私がイスカさんをかっこよくコーディネートしてあげます!!」


と張り切っていたので任せることにした。











この後、俺はこの選択を悔いることになる。












10分後

「まだかー?」

「ちょっと待ってください!次はこれです!」






1時間後

「なぁもう良くな「次はこれを!」いかって...はいはい」








3時間後

「次はこれを!」

「ハイ」


俺はついに性も根も尽き果てて、ただ服を着る着せ替え人形と化していた。


「これです!」


やっと決まったらしい。

すごいわ。服を着替えすぎて静電気がやばい。今なら雷魔法を撃てる気がする。


「行きましょう!イスカさん!」

「うっす」



「次はどこに行くんだ?」

「決めてません」

「ん?」

「だから、決めてませんって」

「ふーん。じゃ、あそこに行くか」

「あそこ?」


「魔導具屋さん」







金もあんまり使うこと無いし、さっきの服も買ってもらったからな。

ちなみに今の俺の服装は、全身真っ黒だ。


某真っ黒い服の二刀流の剣士と似たような感じの服装である。


まぁ結構気に入っている。

ユリナがあそこまで真剣に考えて選んでくれたものだからな。


ということで魔導具屋に来た。

中は、日本では見たことがないようなものがたくさんあった。


まず水晶みたいなのがあった。

これは何なのかと聞くと、対象者のMPの総量が計れるらしい。


上限は8000らしいので、使うのはやめておいた。


次に気になったのが普通の見た目のバックだ。

普通のバックなのかと思ったが、聞いてみるとマジックバックといい、見た目よりも中にたくさんはいるらしい。

持ち運びが楽になるため、冒険者がよく買っていくそうだ。


ちなみにこの前ユリナが欲しがっていたのが、このマジックバックで【読心】を使うまでもなくとてもほしそうな顔をしていたため買ってあげた。


抱きついて喜ばれた時は心臓が止まるかと思ったね。


マジックバックはだいたい100万メルくらいだった。高すぎるだろ。




「今日はこれぐらいかな」

「そうですね。ありがとうございました。買い物に付き合ってくれて」

「いや、いつでも誘ってくれ。俺も楽しかったしな」

「本当ですか!わかりました!」

「じゃあまた明日」

「はい!さようなら!」


可愛かったなユリナ。







あとがき

こうやって遊んでいる間に、あの子はせっせと魔物を集めてます。

やっぱり可愛そうだな。

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