第9話 冒険者ギルドの職員はブラック

???side

「勇者が動き始めました」

「ほう。まぁ勇者は最初のうちは強く無いし、放っておいていいだろう。

面倒くさいのはあの魔法都市だ。まずはあそこを潰そう。エデスを呼んでこい」

「ハッ」

ふふふ。魔法都市にはここで消えてもらおうか。









イスカside

「ここが魔法都市エドナスだよ!」

すげー。なんかこう見るとやっぱり異世界に来たんだなって改めて実感するな。

というかここ、ハリー◯ッターに似てるわ。


「すごいな」

「でしょ!」

ユリナは自分の出身地が褒められて嬉しいのか、とても満足げにしていた。

街はいろんな魔法で溢れていた。


例えば、お店のドアに付与魔法をつけて自動で開くとか。

すごいな自動ドアじゃん。


ユリナに聞いてみると、あのドアを動かすのには魔石が必要らしい。

こんな使い方があるんだな魔石。


「興味があるの?魔石を使った道具」

「あぁ、俺のいたところは田舎でな。こういうのは見たことがないんだ」

「じゃあ!」

そう言って少し前に出ると、ある店を指さしながらユリナが満面の笑みを浮かべて

「行ってみる?魔導具屋さん」

そう言ったので、俺はニッコリとした笑顔を浮かべて

「また今度な」

といった。


酷いって?魔導具屋で高額商品買わされそうだったから回避しただけだが?


そんなこんなで冒険者ギルドについた。

「なぁごめんって」

「ふんッ!」

「どうしたら許してくれるんだ?」

「ふんッ!」


困ったな。口を聞いてくれなくなった。まぁ仕方ないか。

【読心】

なるほど。


「なぁ許してくれって。あれ買ってやるから」

そう言うとユリナは俺の指さした方を見ると....

「分かった!機嫌治すから!絶対に買ってね!約束だよ!」


ユリナが機嫌を直した訳は、スイーツだ。

心の中を覗くと、あそこのシュークリームならぬ、ショークリムが絶品らしい。

だからそこを突けば機嫌を直してくれると思った。

せこいって?まともに女子と交流ないのに、対処法がわかるわけ無いだろ。


「よし約束だから早く入ろうぜ」

「うん!」


そして冒険者ギルドに入ると、酒の匂いがひどかった。

「くっさ!!」

「うん。ここのギルドは他と比べるとめちゃめちゃ臭いんだ」


鼻栓でしっかりと対策をしているユリナがそういった。

知ってるなら教えてくれても良かったじゃん。まだ怒ってたんだろうな。

ごめんなさい。


「すいません。冒険者登録をしたいんですけど」

「はい。わかりました。冒険者登録ですね。冒険者ギルドに関しての説明は必要ですか?」

「あ、はい。お願いします」

「わかりました。

まず、冒険者ギルドでは、7つの階級があります。

下から、

E級

D級

C級

B級

A級

S級

SS級

となっております。階級を上げるには、依頼を一定数達成していただきます。

E級から、D級に上がるには、E級の依頼を10個と、D級の依頼を3個受けていただきます。D級から、C級に上がるには、D級の依頼を15個、C級の依頼を4個受けていただきます。このように、階級が一つ上がるに連れて、同じ階級の依頼が5個増え、ひとつ上の階級の依頼は、一個増えます。

下の階級の依頼も受けることはできますが、階級は上がりません。ただ、ギルドには記録が残ります。そして、B級以上になると昇格試験が存在し、依頼の条件を達成すると、昇格試験に挑む権利がもらえます。昇格試験を合格すると、階級を上げることができます。ここまでよろしいですか?」


めっちゃ喋ってくれた。なんか覚えてたっぽいしすごいな。


「はい」

「では次に、依頼のことについてです。

依頼の種類は大きく分けて3つです。討伐系、採取系、お手伝い系です。

討伐の場合、指定した部位を持ってきていただければ、依頼達成となります。

採取は取ったものを持ってきていただければ大丈夫です。ですが、状態が悪ければ、依頼は失敗となります。

お手伝い系は、ギルドからサインを貰ってくる用に紙を用意します。

それにサインをしていただければ大丈夫です。

こんなことがないように願いますが、お手伝い系の依頼でサインが貰えれば良いということで、依頼主を脅してサインを貰っている人がいます。その場合はギルドカードの剥奪、そしてこの街からの追放となりますので、気をつけてください」


終わりらしい。めっちゃ疲れてるなぁ。もしかしてギルド職員ってブラック?


「ありがとうございました。あのー大丈夫ですか?」

「ご心配、ハァハァ、ありがとう、ございます。でもだいじょうぶでオェ」

「大丈夫じゃないですよね!?」


そう聞くと、背筋をピシッとして

「問題ありません。気付いたら朝だった時の残業よりかは、遥かにマシです。

まぁ今日も残業なんですけどねハハッ」


思ってた以上にブラックじゃん。


「酒臭い職場で、冒険者から暴言を吐かれ、夜から次の日の朝まで書類の残業。

あれ?なんだか目から汗が」


おーい!!泣いちゃったよ!?ギルドマスターは何してんだよ!メンタルが崩壊しちゃってるじゃん!

「私、生きる意味あるのかな?」

「あります!おおありです!!だから早まらないでください!!」


その後、ユリナと一緒にギルドの職員のリーナさんを落ち着かせた。

やばいわギルド。勤務時間が尋常じゃないね。


「お見苦しいところをお見せしました。すいません」

「いえいえ大丈夫です。だから早まらないでくださいね」

「そーです!死んだらいけませんよ!」

「はい。それでは、ギルドカードの作成に移りたいと思います。

今から名前を書いてもらって、その後にこちらの水晶に魔力を込めて頂きます。」

「魔力を?」

「はい。少しだけ込めてください。すると、魔力による個人の判別が可能になります」


すごっ!指紋みたいなもんか?めっちゃ進んでるじゃん!

そう思いながら、魔力を込める。字は書けないので、書いてもらう。


.....ん?そういえば俺ってなんでここの人たちと喋れてるんだ?

まぁ今更か。


「登録が完了しました。これからの活躍を楽しみにしていますね」

「ありがとうございました!」


よっしゃ。とりあえずギルドカードゲットだな。これからどんどん上げていくぜ!

その時、



「おいおい!ガキは家でママのおっぱいでも吸ってろよ!」

「そうだぞガキ!俺のリーナちゃんに話しかけやがって!」

「面貸せや!」


うわーきたわ雑魚が。めんどくせ。









あとがき

ギルドで働くダメ絶対!


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