第38話 魔導国家に到着
「んあ? もう朝か」
俺は目を擦って体を起こす。周りを見渡して一瞬ここはどこだ?と思ったがすぐに魔導国家への旅の途中だと気づいた。
「2人は……まだ寝てるか」
2人を見るとすやすやと眠っている。まだ魔導国家に着くまで時間はある。到着の少し前に起こせば良いだろう。俺は目が覚めてしまったので海を眺めることにした。
魚が海面を飛び出したり、遠い所で巨大な魚が顔を出すのが見えたりするので結構面白い。
「ん……あれ?」
「あ、おはよう。カーラ」
海をしばらく眺めているとカーラが起きた。まだ眠いのか目が完全には開いていない。
「ここは?……それになんでグレンさんが?」
どうやらまだ寝ぼけているらしい。そんなに眠れなかったのだろうか?
「今は魔導国家に行く為に魔導船になってるんだ。俺はその臨時講師として行くんだよ」
「魔導国家、臨時講師…………っ!!」
カーラはやっと目が覚めたらしい。代わりに寝ぼけていた恥ずかしさのせいか顔が少し赤くなった。
「思い出したか?」
「は、はい。えっと、おはようございます」
「ああ、おはよう。でもまだ眠かったら時間あるし寝てても良いぞ」
「い、いえ、目は覚めたので大丈夫です。着替えてきますね……」
カーラはベッドから立ち上がって更衣室に向かう。その時にスカートのような寝巻きのせいで白い太ももがチラリと見えたが俺はすぐに視線を海に移した。
見たくなかったと言えば嘘になるがカーラからすれば男に見られるのは不快だろう。だから俺は見ないことにした。
「えへへ、むにゃむにゃ」
ルキナを見ると相変わらず幸せそうな顔で寝ている。まだ時間もあるし寝かせておいてやろう。
「さて、俺も今の内に着替えるか」
俺は着替えを取り出して隅っこの方で手早く着替える。俺が着替えてから少し間を置いてカーラも更衣室から帰って来た。
「じゃあ行きましょうか」
「はーい! 楽しみだね!」
「そうだな」
カーラがルキナの準備を終えたのを見て部屋から出る。俺たちもその後に続きそのまま船を降りる。
「わぁ、なんだか私たちの街とは違うね!」
「おー、そうだな。なんと言うかここだけすごい進歩している感じがするな」
俺たちは感嘆の声を上げる。そこには馬車とは違う乗り物、空には飛行船に似た物が飛んでいたりしていた。
「なんだか懐かしいですね」
カーラがその景色を見てぽつりと呟く。
「ん? カーラもそんなに久しぶりなのか?」
「ええ。私たちが冒険者になって以来ですから大体2年と少しくらいですね」
2年ちょいってことは俺より少しだけ先に冒険者になったのか。それでも2年でそこまで上がることができたのは才能があってそれに驕らずしっかりと努力をしたのだろう。
「では案内しますね」
「おう、よろしく頼む」
「お願いします!」
そうして俺たちは歩いて魔導学園に向かう。
「着きましたよ。ここが魔導学園です」
「うわ、でっけぇな」
「わぁ、すっごい大きな建物」
俺たちの目の前には馬鹿でかい通路とその奥に巨大な建物があった。ローブを着た生徒のような人が次々に門をくぐっていく。
「私たちも入りましょうか」
「あ、ああ。そうだな」
急に声をかけられたから一瞬言葉が詰まってしまった。俺とルキナは建物まで歩いて行くカーラの後ろについていく。ルキナも緊張しているのか俺の隣にピッタリとくっついている。
「こちらに座って待っていてください。私は学園長と少し話をしてきます」
「うぃーす」
「はーい」
俺たちはカーラが言った通りに椅子に座って待つことにした。流石は校長室の廊下だ。とても綺麗で誇り1つない。これも魔法で掃除しているのだろうか?
「ねぇ、お兄ちゃん。今カーラさん何話してるのかな?」
ルキナは最初は廊下を眺めていたが、どうやら飽きたらしい。確かにこの時間は暇だと思うから仕方がない。
「そうだなぁ。俺の予想だと何を教えるか相談してると思うぞ」
「あー、それは確かにありそうだね」
「ルキナはなんだと思う?」
「んー、私はお兄ちゃんのことだと思うなぁ」
「俺?」
なんで俺なんだ? そう俺が疑問に思っているとルキナが続けていく。
「カーラさんの紹介とはいえお兄ちゃんがどこまでの魔法が使えるかとか説明してるんじゃないかな?」
「なるほどなぁ、それもありそうだな」
そんな会話をしているとドアが開きカーラが出てきた。
「お待たせしました」
「早かったな。何話してんだ?」
「私たちがどこのクラスを担当するかを話し合ってましたね」
「クラス?」
ルキナが首を傾げる。俺もなんなのかよく分かってないから同じく首を傾げてしまう。
「ええと、この学園ではランクがあってそのランクに応じてAからCに分けられます」
「へぇー。ちなみに俺はどこになるんだ?」
「グレンさんと私はCクラスの担当になりました。ルキナさんはーー」
「私もCクラスで!!」
ルキナが食い気味に答える。カーラは多分俺のことを気遣ってCにしてくれたんだろう。ランク4の冒険者が教えるとなると上のクラスからは反感があるかも知れないからな。
するとカーラはルキナの答えが予想通りだったのか少しだけ笑った。
「分かりました。では案内しますね」
「やった! 2人とも頑張ってね!」
ルキナの笑顔が眩しい。まぁ、頑張るしかないよなぁ。
俺たちは担当するクラスまで案内された。
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