第35話 お父さんになった気分


「あー、今日は何しようかなー」


俺は宿でゴロゴロとしながら今日は何をするか考える。金はアリスたちから貰ったし、別にしばらくクエストを受けなくてもいいしな。


「グレーン!!ちょっと下まできてくれ」


「ん?ゴードンさんの声か?」


何をするか考えていると下からゴードンさんの声が聞こえる。心なしか焦っている様な声だった。

 俺は手早く着替えて一階に降りた。


「どうしたんだ?」


「お前に用があるって言ってる人が来てるんだよ」


「?……俺に?」


するとゴードンさんは入り口の方を指を指す。中には入って来ないのか? まじで誰だ? ナインたちか? いや、あいつらは今日は仕事だしな。


 そして宿を出ると1人の女の子がいた。


「……約束してたから来たよ」


「あー、なるほど。そっちね」


薄紅色の長髪に眠たそうな目の小さな女の子、リズである。……いや、確かに約束したけど、まだ1日やそこらしか経ってないよ?


リズよ……お前そんなに早く食いたかったのか。



「確かに約束したけどさ……来るの早くない?」


「?…そんな事ない」


「……まぁ、良いか」


そして1度、宿に荷物を取りに行って俺とリズは歩く。どうせ作るならもっといい場所で食いたいしな。 うーん、そうだな、どこにするか。俺は歩きながら考える。


「…少し歩くけど良いか?」


「ん、別に良い」


俺は行きたい所も決まり、リズに確認する。リズも頷いて了承してくれたし、少し歩くか。


「……ねえ、グレン」


「ん?どうした?」


「昨日、ステラと街を回ったの?」


「あー、と言っても丘で2人で横になってただけだぞ?」


「……ふーん」


なぜだろうか。なんかリズの機嫌が悪くなった気がする。なんで? 俺なんか悪いことした?


「なぁ、もしかして機嫌悪い?」


「……別に」


いや、絶対に機嫌悪いじゃん。確定じゃん。なんかムスッとしてるし……しょうがないな。


「今日の作る料理は豪勢にしてやるよ」


「ほんと?」


俺の豪勢にする、と言う言葉を聞いてムスッとした表情が消えた。単純すぎやしないかと思ったが今はそれがありがたい。


「ほんとだよ。他のみんなはどうする?呼ぶか?」


「できるなら、みんな一緒が良い」


「じゃあ、呼んで来て良いぞ」


俺は一旦準備する為にここでリズと別れようとする。すると背中を向けた俺の服をリズが掴んでいた。


「……一緒に呼びに行こ?」


「いや、俺は先に行って準備とか、色々しようかなーと」


「……ダメ?」


リズの上目遣い、久々に見たな。あの街の時以来か?いや、懐かれるのは嬉しいけど……うーん、でも準備とか先にしといた方がいいしな。


「いや、全然駄目とかじゃないけどね? なんかさ、こう、手間がかかるしさ?」


「……でも」


「わ、分かった。一緒に呼びに行こう。」


「うん…ありがとう」


結局俺が折れることにした。まぁ、こんな小さい子供が悲しそうな顔を見てしまったらしょうがないと思う。 なんかお父さんにでもなった気分だ。


俺も結婚とかしたら、こうやって子供と出かけたりすんのかな?俺は自分の結婚する姿を思い……浮かばなかった。

 自分の結婚する姿は想像がつかない。


「じゃあ少し待ってて」


「おー、分かった」


俺たちはアリスたちが泊まっている宿…というよりホテルに向かった。リズが呼びに行って全員が降りてくる。


俺はでかいホテルみたいなここに入れる気がしなかったので入り口で待つ。


「みんな、グレンがご飯作ってくれるって」


「ほんとに? やった」


「ありがとうございます。ちゃんとお礼はしますので」


「いや、そんな気にしないで良いよ」


充分お礼は受け取ったから、もうお腹いっぱいだ。このまま受け取り続けたら流石に駄目人間になりそうな気がする。


「ステラも昨日ぶりだな」


「うん、今日もありがとね」


「別に構わないさ」


そして俺たちは目的の場所まで歩く。あの3人組に見つかると面倒なことになるので、そこは避けながら進む。


「ついた。ここで食べるか」


「へぇ、こんな場所もあるんだ」


俺たちは街の外れの方にある川の近くで食べることにする。ステラが関心したようにここでは俺もオフの日に川上の方へ登ってたまに釣りをするくらい良い場所だ。

 のんびりできるし、川が綺麗なのでとても癒されるのだ。


「……綺麗」


「本当に綺麗だね」


「ですね…水が透き通ってます」


3人がそれぞれ川を見て感想を呟いていた。みんなが川の透明度を見て驚いている。それもそうだ。この川が自然が豊かな何よりの証拠である。


 俺はこの川を褒められて少し誇らしくなった。


「よし。じゃあ、準備を始めるかな」


「何か手伝えることとかありますか?」


「うーん、そうだな。じゃあちょっとこいつを見ておいてくれるか?」


俺は魔法袋からあらかじめ洗っている米を取り出して、それをカーラに渡す。


「これを見ておけば良いんですね?」


「そうそう、下に薪をべてこの網の上にしばらく置いておくから、ぐつぐつと言い出したら教えてくれ」


「分かりました」


そうして俺は調理をする為にお馴染なじみの魔法袋から調理器具を取り出して、調理を進めていく。



—————


少し書き方を変えるかを迷っています。


「あ」

「あ」


「あ」


「あ」


セリフに改行をあけるか否か参考までにコメントお願いします。

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