第34話 分からない感情


「ん?……ふぅ、良く寝たなぁ」


体を起こして、空を見る。すると太陽が沈み出して、夕暮れ時になっていた。ふと横を見るとステラが眠っていた。


「んっ…すぅー、すぅー」

 

「うーん」


もう少しで夜になるし、起こすべきか?でも幸せそうに寝てるから起こしたら可哀想だしな。どうするべきか俺はしばらく悩む。


「おーい。もうそろそろ夜だから起きろー」


「んー?……あれ?私、そんなに寝てた?」


「あぁ、ぐっすりだったぞ」


俺は声を出して起こす事にした。ステラは眠そうな目を擦りながら周りを見渡して暗くなってる事を確認している。


 俺たちがどれだけな寝てたのかよく分からないが、夕暮れだったこともあるから相当寝てたと思う。

 


「もういい時間だけど、どうする?」


「そうだね、私はみんなのとこに帰ろうかな」


「分かった、じゃあまたな」


「うん、またね」


俺は手を振ってステラを見送った。ステラも振り返してくれて、そのまま俺たちは各々の宿に帰った。



>>>>>>>>>


「はぁ、やっぱり今日の私はおかしい気がする」


私はグレンと別れたあと、宿に戻る途中で今日の自分を振り返る。

 最初にグレンと出会って真剣な顔で頼まれごとをすると思った時には、ドキッとしたけど、変な頼まれごとって分かった時はなぜかガッカリした。


「で、挙句に私はグレンに自分から触れようとした」


今までの自分からは想像もできないような行動に自分でも困惑する。なんであんなことをしたのか私自身よく分かっていない。


「……ただいま」


「ん、おかえり」


「今日もどこかで寝てたの?」


宿に帰るとリズとアリスがいた。


カーラは……図書館とかで勉強してるのかな? カーラは勤勉だからよく魔導書を探しに行ったり、図書館とかで勉強をしてるので帰るのが遅くなることがよくある。


「うん……まぁ、そうなんだけど」


「?? なんだか歯切れ悪いね…」


「何かあったの?」


私が言いにくそうにしていると、それを察知したのか2人が聞いてくる。私も自分の気持ちが整理できてないんだよね。


「今日はね、グレンと一緒にいたんだ」


「……ふーん。…なにかしてたの?」


「何もしてないよ。緑の丘で一緒にゆっくりしてただけ」


「…他には?」


「特になにも…あ」


リズがぐいぐいと来るなかで1つ思い当たることがあった。心なしかリズの機嫌が少しだけ悪くなってる様な気がする。

 気のせいかな? 私は機嫌が悪い?リズと、いつもと同じように落ち着いてるアリスに今日あったことを話す。


「私ね、寝てるグレンの頭を触ろうとしたんだ」


「………」


「へぇ、なんで触ろうとしたの?」


「それが……自分でも分からないんだ」


今日の私はおかしかった気がする。自分から男の人と街を回ろうと言い出したり、更に自分かられようとしてた。

 そんなことは今まで思ったことないし、これからもないと思ってたくらいだ。


「その前にも今日はグレンに頼まれたことがあったり布団をグレンの宿に取りに行くときにリズの話をしてたんだ」


「……やっぱりあるじゃん」


「……思い返したら結構あったね」


「……ねえ…グレンが私のことを話してたの?」


「うん、楽しそうにリズのことを話してたよ」


「……そうなんだ。ふふふ」


私が肯定すると、リズが分かりやすいくらいニヤニヤとしていた。友達が自分のことを褒めてくれるのはやっぱり嬉しいことだよね。


「まぁ、そんな感じで今日の私って変だったんだけど、2人は何か分かる?」


「うーん……私は、分からない。アリスは分かる?」


「それは、あれじゃない? カーラが僕たちにたまにやる頭を撫でるやつ」


カーラはたまに寝ている私たちの頭を撫でてくる。私たちに向ける眼差しは親が子供に向けるような優しい目でとても安心する。



……でもな〜なんかそれじゃない気がするんだよね。


「うーん、いや…でもなぁ、やっぱりそうなのかな〜?」


「僕はそう思うよ。多分、きっと、そうなんだと思う」


ステラは2人に相談をしても納得できる答えは見つからなかった。彼女たちは男の人との交流がほとんどない。


 更に3人とも男の人たちに対する偏見が、まだ残っており、相談できる異性がいない。故にステラが今、かかえている感情がなんなのか分からないままになったのである。

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