第23話 少し遠出のクエスト


「昨日は色々あったが、リフレッシュはできたな」


俺は体をベッドから起きて、窓を開ける。今日はいつもより早く起きてしまったようだ。

 朝にしかやってない店がやっているのが見えたから早く起きた事がわかった。


「目も覚めたし、とりあえず朝飯だな」


「お!グレン!今日は随分早いな!!」


下に降りるとゴードンさんに随分と驚かれた。いや、俺だって人間だから朝早く起きる事だってあるぞ。


「いつものでいいか?」


「あぁ、頼むよ」


そうして、いつもの飯を食べて、今日は早めにギルドへ向かった。


「今日は誰も知り合いはいないな」


誰も知り合いがいなかったのでさっさと掲示板の方へ向かい、貼られてるクエストをみる。


「うーん、偶には遠いとこのクエストに行くか」


少し、考えながらどのクエストにするかを眺める。


「…これにするか」


手に取ったのはフウロ海岸のクエストだ。何でもモンスターのせいで漁ができなくなったからどうにかして欲しいらしい。


「そうだなー、クエストのついでに海鮮系の食材もいくつか買って帰ろう」


今から楽しみになってきたな! そうと決まれば早速出発だな。


「あ、グレン」


「ん?おーリズか。昨日ぶりだな」


ギルドを出ようとすると、昨日に会ったリズがいた。良く見たらリズだけじゃなく、他のメンバーも勢揃いだ。


「や、おはよう」


「あ、はい、おはようございます」


リーダーのアリスが挨拶をしてきたのでとりあえず挨拶をしておく。


「ちょうど君を探してたんだ。前にくれた昼食の値段がわからなくてね」


「……うえっ!?」


変な声が出た。袋を渡されて中を見ると金貨が60枚ほど入っている。 これだけあれば物価の高い王都でも1年は遊んで暮らせる額だ。


「こ、こんなに頂けませんよ」


「大丈夫。僕たちも結構稼いでるし、何より前は君に悪い事をしてしまったからそのお詫びだよ」


「…ありがとうございます」


絶対に貰いすぎな気がする。けどくれるなら、ありがたーく受け取ろうではないか。

 おにぎりの件も水に流そう。うん、だってプラスマイナスで言えば圧倒的にプラスだしな。

 ……俺は決して金につられた訳ではない。いや、本当だって


「それより、君はこれからどこへ行くの?」


「えっと、フウロ海岸のクエストに行こうと思ってます。」


リズには昨日と同じ接し方だが、他のメンバーには敬語で接する。何か粗相をして、機嫌を損ねたら殺されるから、社会的に。


「なら、僕たちも一緒に行ってもいいかな?」


「はい?」


何でだよ、あんたら高ランクは忙しいだろ。そんな事をしてる暇なんかないでしょうに。


「え、いや皆さんはランクも高いですし、お忙しいのでは?」


「あー、それは例の件で、国からのお偉いさんが現場に来たから多分1週間くらいは暇になるんだよね」


「昨日のうちにアリスが事情聴取とかは済ませたからね」


「……」


そっかー、暇になったのかー。けどなんで君たちついてきたがるの?アヒルのヒナじゃないんだから…俺は目を瞑った。


「うーん」


どうするべきか。ここで断っても良いけど。すでに周りに注目されて、断りずらいんだよな。

 どうするべきか。


「グレン…昨日言ったこと覚えてる?」


「昨日?……あ」


「時間が合えばついて行って良い?って私言ったよね?」


「……言ったな」


「グレンは…合えば良いって約束してくれたよね?」


「…したな」


「じゃあ…ついて行っていいよね?」


「……」


やっぱ、この子押しが強い。リズが昨日の事を引き出しに凄いぐいぐいくる。


「良いよね?」


「……はい」


 こうして、俺の遠出のクエストに高ランクパーティが来る事になった。…どう考えてもこれは過剰戦力だろ。


「決まりだね。前回は自己紹介とかできなかったからね。改めて僕はアリス。よろしくね」


「私はステラ、よろしく」


「カーラです。よろしくお願いします」


「ええと、グレンです。よろしくお願いします」


改めて、お互い自己紹介をして馬車に乗る。まさか、こんな事になろうとは思わなかったけど。

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