第22話 街巡り


「さて、次はどこに行こうか」


のんびりと街を回りつつ美味いものを探す。新たな美味い店とか見つからねえかなー。そんな事を考えながらいろんな所を見て回る。


「リズはこれが食べたいなんて物あるか?」


「…甘い物?」


「甘い物か……ありだな」


ここら辺で甘い物か…何かあったかな? 最近デザートとか食べてなかったから良いかもな。

 そういえば、確かこの近くにクッキーを売ってた店があったな。


・・・・・


「ここだな」


「ここは?」


「ここはクッキーを売ってる店だ。手軽に食えるし、何度かここに来たのを思い出してな」


 ここのクッキーは安く、種類も結構ある。普通のクッキーからさっぱりした味の物、後はチョコを使ったものまである。


「俺はチョコを買うか。リズは?」


「私もチョコ…あとこれとこれ」


「……そうか」


 まぁ、もう驚かん。いっぱい食べることはいいことだ。 栄養は身長じゃなくて別のとこに吸収されてそうだけど。そんな事を俺は思った。


「お、久々に食ったけど美味いな」


「…美味しい」


 リズもご満悦だ。機嫌も良くなったし、よかった、よかった。うーん、たまにはデザート作るのもありだな。


「……美味しかった」


「それは何より」


 クッキーが口にあったようで何よりだ。甘い物はやっぱり良いな。また、今度来るか。


「次は、どこに行くの?」


「ん?そうだな、もうそろそろ良い時間だし、少ししたら普通の飯でも食おうかなと思ってる」


「ふーん」


「お前はどうするんだ? 帰ってパーティメンバーと食うか?」


「うん、そうする」


「分かった」


「グレン、今日はありがとう」


リズは少しだけ近づいて笑顔でお礼を言ってくる。 やっぱり改めて見ると、本当に綺麗だな。


「あぁ、俺も楽しかったし、気にすんな」


「……ねぇ」


「ん?」


「また…時間が合えばついて行っていい?」


「…あぁ、時間が合えば、な」


「本当?…約束だよ?」


「あぁ、約束だ」


 でも、そんな機会はほとんどないだろう。こいつらは今回で多分ランクが9になる。そうなればより忙しくなったり、国に声をかけられることもあるだろう。

 そうなれば時間が合うことなど滅多にない。


「そう…じゃ、またね」


「またな」


そうして、リズは背中を向けて帰っていった。さて、少し休憩してからどこかの店に入るか。

 今日はパスタ食いたいな。この近くってパスタの店あったっけ?



>>>>>>>>>>


「…ただいま」


宿に入るとアリスだけだった。多分、カーラは魔導書を探しに、ステラは…どこかで寝てそう。


「あれ?遅かったね。どこか行ってたの?」


「うん…グレンといろんなご飯食べてた」


「へー、…え?」


アリスは赤い目を大きく開き、驚いた声を出して一瞬だけ固まった。


「美味しかった」


「え?か、彼と一緒にいたの?」


「うん」


「何もされなかった?」


「何もされなかったし…変な視線も感じなかった」


「そうなんだ」


「ねぇ……アリス」


「?…どうしたの?」


「私って…よく食べる?」


「うーん、どうなんだろ? まぁ、よく食べる方なんじゃないかな?」


「…そう」


「??」


 アリスには質問の意味がよく分かってない。リズは自分のお腹に手を当てて、触っている。


「私の場合…栄養が胸にいってるだけ」


 そんな事を1人で呟いてた。

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