第19話 よく寝た


「あー、結構寝たな」


 目を擦って後にぐーっと体を上に伸ばして体を鳴らす。体感だと1時間くらい寝た感じがするな。


 「おはようございます。よく寝てましたね」

 「え?あ、はい、おはようございます」


すると、カーラが足を揃えて座っている。寝る前より少しだけ近かった。男嫌いのこいつらにしては珍しい距離感だ。あと、まだ帰ってなかったんだ。

 周りを見るとカーラの近くで他のメンバーが寝てた。何でこの人たちも寝てるんだ?


 「あの…先に街に帰らなかったんですか?」

 「えぇ、私たちもたまにはゆっくりしたいと思いまして、迷惑でしたか?」

 「い、いえ、そんな事はないです」

 「なら、良かったです」


カーラは少し微笑んで他のパーティメンバーの頭を撫でる。長い黒髪が風で揺れて綺麗だなと思った。仕草は母親みたいだけど。

 この人らも昨日のことで疲れてるだろうし、さっさと退散するか。


 「では、俺も邪魔しちゃ悪いですし、先に街に戻りますね」

 「え?」

 「え?」

 「「え?」」

 「「……」」


いや、え?ってなに、え?って、君らが男嫌いだから、気を使ってるんだよ。


 「……」

 「えぇと、皆さんお疲れのようなのでゆっくり休んで下さい。それでは俺はこれで」

 「…はい」


そして、俺は街に帰って行く。もう、考えるのがめんどくさくなってきた。今日は帰って贅沢をしよう。

 そうだな、今日の夜も高めの肉でアツアツの唐揚げを作ってご飯にコンソメスープ、サラダも少し一手間加えるか。


そんな事を考えながら街へ向かって行く。




>>>>>>>>>>>>>


 「やっぱり変な人ですね」


私は寝てる他のパーティメンバーを頭を撫でながら1人で呟く。


 「こうして、みんな眠ってると分かった時にも嫌な視線も感じませんでした」


念の為に変な事をされないように私が起きてましたが、いらない心配だったかもしれないですね。


 「彼女たちが男の人の近くで眠るなんて今までありませんでしたね」


普段だったらこんな事はありえない。けど彼が気持ちよさそうに寝ているのを見ていたらリズが私も寝ると言い出して、それに続く様にみんな寝ちゃいましたね。


 「うーん」

 「おはようございます。リズ」


そんな事を考えているとリズが目を擦りながら、起きました。

 まだ眠そうにして目を擦ってます。


 「あれ?」

 「大丈夫です。なにもされてませんよ」

 「そう」


リズが自分や他のメンバーを見ていたので何もされていないことを伝えた。

 何もされてない事に少し驚いているようにも見えます。


 「カーラ、あの人は?」

 「先に街に戻りましたよ」

 「…本当に私たちに何もしなかったの?」

 「そうですよ」

 「ふーん」


まぁ、自分で言うのもなんですが私たちの容姿は整ってる方ですからね。

 今まで男の人からは不快な視線を向けられたり、挙句の果てにはよナンパをしてきたりと、男の人には良い印象がないですから。

 でも、気のせいですかね?少しだけリズが不満そうな表情をしているのは。


 「ん、あれ、彼は?」

 「先に街に戻りましたよ」


どうやらアリスも起きたようです。そろそろ良い時間ですし、ステラも起こして街に戻りましょう。


 「起きてステラ、僕たちも街に帰るよ」

 「うーん、あと少しだけ寝かせて」

 「駄目だよ、いつもそう言って起きないんだから」


アリスはステラの体を揺らして起こす。ステラは体を起こしても眠そうに首がこくん、こくんと動いている。


 「じゃあ、僕たちも帰ろうか」

 「そうですね。帰りましょう」


私たちも日が落ち始めた時に、帰りました。あの人は男の人ですけど、嫌な感じがせず、喋りやすいと思いました。もう少しお話してみたかったですね。

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